575:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/04/11(月) 02:30:15.40 ID:omAKY+YA0
(´・ω・`)「……遅かったじゃないか」
( ^ω^)「……」
家に帰ると、知らない男が居間でくつろいでいた。
しわくちゃのスウェットを着こなし、顎には無精髭を蓄え、
新聞片手にラジオで競馬実況を聞いている。どこからどう見てもおっさんだ。
(;^ω^)「えー……」
怖い。超怖い。
何故、変なおっさんが居間でくつろいでいるのか。
少なくとも、知り合いではない。こんなおっさん知り合いになりたくもない。
(;^ω^)「あの……どちら様ですかお?」
(´・ω・`)「よくぞ聞いてくれた……」
(´・ω・`)「────僕は妖精さ!!」
( ^ω^)「は?」
577:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/04/11(月) 02:31:24.85 ID:omAKY+YA0
( ^ω^)妖精との血塗られた契約のようです
( ^ω^)「あんま今時の若者なめてっとやべぇぞ? あ?」
(#)ω・`)「すいませんでした」
とりあえず、一発殴って正座させた。競馬実況が流れるラジオは辞めさせた。
一体何処のメルヘン世界に無精髭を生やした妖精さんがいるのか。
早々にこの自称妖精のおっさんにはお引取りを願わなくてはなるまい。
579:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/04/11(月) 02:33:23.47 ID:omAKY+YA0
( ^ω^)「……で、妖精さんが何の御用ですかお?」
(´・ω・`)「はい、話してもよろしいでしょうか」
( ^ω^)「うむ」
(´・ω・`)「実は……」
( ^ω^)「……」
(´・ω・`)「……」
( ^ω^)「……」
(´・ω・`)「……」
( ^ω^)「……?」
(´・ω・`)zzz
(;^ω^)「って、寝てる───っ!!!!」
581:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/04/11(月) 02:35:03.04 ID:omAKY+YA0
(´・ω・`)「ってのは冗談さ! AHAHAHA!」
( ^ω^)「さっさと話さないと二度とその舐めた口を聞けねぇようにしてやるお?」
(´・ω・`)「すいませんでした。話させて下さい」
( ^ω^)「ふむ……」
(´・ω・`)「僕は妖精だからね……イタズラしに来たのさ!!」
( ^ω^)「そうですかお!! それはよかった!! 出口はあちらになりますお!!」
(;´・ω・`)「ちょちょちょちょっとまって!」
そう言っておっさんを無理やりお引取り願おうとする。
途端、親父臭い体臭が匂ってきた。加齢臭漂わせる妖精が何処に居るんだよ。
(´・ω・`)「あら? さては信じてないですね?」
( ^ω^)「当たり前だお。アンタみたいな加齢臭漂わせる妖精が何処に居るんだお」
(´・ω・`)「ふむ……それではちょっと待っててください」
583:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/04/11(月) 02:37:34.85 ID:omAKY+YA0
(´・ω・`)⊃━━☆ 「えーい!」
( ^ω^)「うわぁ……きっつい……」
おっさんは股間の辺りから、先端に星型の宝石が付いたステッキを取り出し、振り回した。
その光景はまさに見るに耐えない。えーい!じゃねぇよ。
(´・ω・`)「いま、部屋の外にイタズラをしてみました。扉を開けてみてください」
( ^ω^)「ったく、何だお……アンタの遊びに付き合ってる暇は……」
──────そして、扉を開けたらそこには別世界が広がっていた。
見慣れた廊下でなく、そこは薄暗い迷路。明かりが届かない程の地下にあるのか。
中は非常に薄暗く、所々の壁に掛けられた蝋燭の灯火が唯一の光であり、それ以外は闇。
地下特有の粘り気のある湿気が奥からは漂っており、苔の独特の匂いが鼻を擽る。
いくら目を凝らしても出口のような光は見えもしない。本当にこの迷路は出口があるのかすら、
疑ってしまうかのような陰湿な雰囲気を漂わせている。この迷路を例えるならば、怪物。
さながら深遠から此方を覗き込む怪物であり、この迷路に潜ったが最後、そこは怪物の口の中なのだ。
( ゚ω゚)
(´・ω・`)「ね? 妖精の魔法で君の家の廊下を迷路にしてみました! どう?これで信じて……」
(#^ω^)「元に戻せー!!!!!!」
586:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/04/11(月) 02:39:40.31 ID:omAKY+YA0
少し時間が経った後、もう一回扉を開けてみたら、普通の廊下に戻っていた。
しかし、あの迷路に足を踏み込んでいたらどうなっていたのか。
恐らく無事に帰ってはこれまい。そう考えると、震えが止まらない。
(´・ω・`)「信じて貰えましたか?」
( ^ω^)「……まぁ実際に目の当たりにしては、ね。信じざるを得ないお」
(´・ω・`)「それはよかった」
( ^ω^)「……しかし、本当に凄いお。その……妖精の魔法?」
(´・ω・`)「いえいえ、所詮は悪戯。大したものではありませんよ」
( ^ω^)「他には例えば何が出来るんだお?」
(´・ω・`)「そうですね……例えば、明日の天気が雨だとするでしょう?」
( ^ω^)「うむ」
(´・ω・`)「雨の代わりに豚を降らせられます」
( ^ω^)「そこは飴降らせよ。何で豚なんだよ」
589:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/04/11(月) 02:41:44.18 ID:omAKY+YA0
(´・ω・`)「ちなみに妖精ですからね。羽もありますよ」
( ^ω^)「うわぁ……って、煙草くせぇお! 羽も黄ばんでるし!」
(´・ω・`)「まぁ飛べませんがね」
( ^ω^)「なんで羽生えてんだよ。飾りじゃねぇかお」
おっさん妖精は羽をおもむろにポロリしてきたが、煙草臭かったのでしまって頂いた。
そして、窓の外から豚の鳴き声が聞こえてきたが、聞こえてない事にした。
目の端で空から豚が落ちてくる光景が目に入った気がするが、見えてない事にした。
ブヒー ブヒー ブヒー
( ^ω^)「……とにかく帰ってくださいお」
(´・ω・`)「それはできないんだ。すまないね」
(;^ω^)「それは困る!! 非常に困るお!」
591:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/04/11(月) 02:43:19.15 ID:omAKY+YA0
( ^ω^)「なんで帰らないんだお!?」
(´・ω・`)「君に使った魔法で魔力を使い切ってしまってね。魔力が回復しないと元の世界に帰れないんだ」
(;^ω^)「むぅ……」
嫌な予感がした。猛烈に嫌な予感がした。
家におっさんの妖精が来る時点で最悪の事態なのだが、
それ以上の事が起こる嫌な予感がした。
( ^ω^)「その魔力を回復するにはどうすればいいんだお?」
(´・ω・`)「協力してくれるのかい?」
( ^ω^)「まぁ、自分に出来ることなら……家に居られても困るしお」
(´・ω・`)「ありがとう!! さて、その方法と言うのはね……」
594:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/04/11(月) 02:45:17.62 ID:omAKY+YA0
(´・ω・`)「今は僕の他に妖精はこの世界に来ていてね。まずはその妖精と会う事から始めよう!
何故かって? 妖精たちはこの世界の住人たちと接触して、ある契約をするんだ。
その契約って言うのはね、魔の契約と言ってだね。僕らの世界ではある年齢に達した者は、
地上の人間と接触しなくてはいけない。まぁ、通過儀礼の一つさ。妖精とその契約をした者は、
妖精に願い事を一つだけ叶えて貰える代わりに、ある事をしなければいけない。戦いさ。
戦争と言ってもいい。妖精戦争と言うべきだね。妖精と契約した同士で戦い合って、
魔力を奪い合う。まさに血塗られた契約だね。ちなみに君とは既に契約しているよ。
昨日君が寝ている内にしておいた。口付けをもってね。キスは初めてだったかい。ごめんね。
さて、僕と契約した君はもう魔法が使えている筈だ。僕の魔法の一部、豚の魔法を分けてあげたよ。
触れたもの豚になる魔法さ。どうだい?凄いだろう?君はもう妖精さんの仲間入りさ。
それで今君の一番近くに居る契約者は欝田ドクオって人だ。知ってるかい?まぁどっちでもいいけど。
彼は火の妖精ヒートと契約している筈だ。こいつは手強いぞ。一筋縄じゃいかない相手だろう。
だけど、君なら大丈夫。僕が選んだ相手だからね、きっと彼等に勝てる……いや、それ以外の
契約者にも勝てるって信じてるよ。君は運命って信じるかい?僕は信じる。君との運命を……ね。
さっき君に殴られた時に感じたんだ。「あぁ……あたいこの人に一生付いていくんや」って。
さぁ、今すぐ出発だ。扉を開けて夢の世界に飛び立とう! 二人で妖精戦争を勝ち抜こうではないか!!」
( ^ω^)「帰れ」
~FIN~
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- 2011/04/11(月) 08:09:21|
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