ひとくちlw´‐ _‐ノvくりぃむ

ブーン系作品まとめブログ

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( ^ω^)ブーンはひとのようです 第一話

867:( ^ω^)ブーンはひとのようです :2010/12/26(日) 21:30:57.44 ID:as1zCPBx0

 ブーンは人だった。            ひと
 今でも「ひと」だけれど、字を当てるなら非人だ。
 ブーンは、鬼と呼ばれ恐れられている。

 いや、呼ばれてはいない。
 ブーンのことをそう思う人は、皆殺されているから、ブーンに。
 殺され人の死に際に、ブーンは、非人や鬼やと恐れられた。

 でも誰が何と言おうとブーンは人だ。ひとり殺して、ふたり殺して……
 何人殺したかわからなくなった頃に、きっと人の心を忘れてしまった
 ――可哀想な人。

 ブーンは人――
 だから、救われないじゃないか。

868:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/12/26(日) 21:32:34.21 ID:as1zCPBx0
夕日の橙色が地面を染め、影を作り、風が草を揺らしていた。
ブーンはひとり、原中の道を歩いていた。
表情はなく、腰には刀。ブーンはただ、歩いていた。

ざ、と突然、

( ,,^Д^)「おぉい」

行く手を阻まれる。視線を前に向けると大柄の男が五人いた。腰には馬鹿みたいにでかい刀。

( ^ω^)「なんの用だお」

 ブーンは聞く。

「やぁ、お兄さん。ちょっと悪いが身ぐるみ全部置いて行けやぁ」

男どものなかでも大将らしき男――ひとりだけ腰にぞろりと獣の皮を巻いている――が黄色い歯をむき出して笑った。

( ^ω^)「断る」

ブーンは冷めた声で言い、何ごともなかったようにまた歩き始める。

( ,,^Д^)「おいおい、兄さん。舐めた真似しねぇ方が身のためだぜ。このきれいな顔に傷を作りたかぁねぇだろう?」

男のひとりが、ブーンの顎をついっと引き上げ無理やり上を向かせる。四角い面の男だ。
ブーンの長い髪がさらりと揺れた。
男たちはにやにやと嘲りの笑みを浮かべている。

870:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/12/26(日) 21:34:03.93 ID:as1zCPBx0
ブーンは迷わなかった。
しん、と風が吹く。ブーンに触れている男はぴくとも動かない。

「ん?どぉしたぁ? タカラ」

不審な顔をして大将格が四角面を呼ぶ。
タカラは返事をしない。

ずり。

タカラの体が傾ぎ――崩れ落ちた。

「ひ」
誰かの喉が鳴った。

ばったりと仰向けに、大の字に倒れたタカラの胸は真っ赤に濡れていた。
胸から流れる赤い血。タカラの目から急速に光が失われていく。
流れていく赤色は、命そのもの。

872:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/12/26(日) 21:36:03.40 ID:as1zCPBx0

 ブーンは血のしたたる短刀を引っ提げ、大将格に目を向けた。
睨んでいるわけではない、脅しているわけでもない。ただ見つめる。
だというのに大将格の顔がこわばる。

「…………っ。そいつを殺せぇっ!」

大将格が叫んだ。狂気じみた叫びだった。

子分たちはちょっとためらってお互いを見合ったが数を頼み、一気に刀を抜き放った。
 夕日に刃が反射し、きらめく。
ブーンはまぶしくて微かに目を細めたが、何も迷わなかった。
刀を抜き、斬った。

肉を裂く感触、骨を砕く音、血の生ぬるさ。
常人なら恐怖してしまう惨状を自ら作り出しても、ブーンは眉ひとつ動かさなかった。

874:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/12/26(日) 21:39:03.21 ID:as1zCPBx0
――――。
あっという間に三人を殺した。

刀を振り、血を払う。飛んだ血が、大将格の頬にかかる。
ブーンが一歩踏み出すと、大将格はがたがた震えながら地面にへたりこんだ。
酒焼けの赤ら顔が土気色に変わっている。

「ひっ、あ、あ。……た、すけて、くれぇ」

喉の奥に何かが引っかかったような喋り方。ブーンは大将格を見下ろす。

( ^ω^)「お前らのねぐらを言え」

平淡な声。
ブーンが声を出したというだけで、大将格はひどく怯えて縮こまる。

( ^ω^)「言えお」

もう一度聞くと、ぼそぼそとねぐらの場所を言った。回りくどくてわかりにくい説明だ。
切れ切れの言葉を合わせてみると、この男たちのねぐらは廃寺らしかった。
この道をまっすぐ行った先にある地蔵が目印。その地蔵を見たら道を左に外れ森の中に入る。
すると森の奥に廃寺があると男は言った。

( ^ω^)「そうか」

ブーンが言うと、大将格の瞳にちらりと希望のような光がかすめた。

助かる、とでも思ったのだろうか。

878:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/12/26(日) 21:40:49.93 ID:as1zCPBx0
ブーンは刀を振り上げる。大将格は叫んだ。

「やめてくれ! や、やめ……てめぇは鬼か!!」

大将格の瞳は絶望色をしていた、恐怖色をしていた。
その瞳色を見ても、何のためらいもなくブーンは刀を振り下ろした。
すぐに大将格の瞳から光が消えていった。

吐きそうなくらい血の匂いが原に籠めている。
冬近い秋の風が吹いても、匂いは飛ばされていかなかった。

血の匂いが原に、籠めている。

881:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/12/26(日) 21:44:16.09 ID:as1zCPBx0
森の中に伸びる細い道を行くと、苔に覆われた地蔵があった。
頭の欠けた地蔵で、それはかえって、地獄への入り口のように見えた。
欠けた頭はすぐ近くに転がっている。
ブーンはなんとなく地蔵の頭を体にのせた。

 道を逸れ、森の中に入っていく。
朱色の光が葉々のすき間から差し、地面をまだらに照らす。
少し行くと下草が倒れ道になっていた。道、というのもはばかられる一筋。
ブーンはその頼りない小道をたどった。

 日はすっかり傾き、森は冷たい闇に包まれようとしていた。
 小道の先の開けた場所に、ひっそりと建ち、ゆっくりと朽ちていく寺があった。
漆喰はほとんど剥がれ落ち、僅かに残るそれも茶色く変色している。
雨露のためか瓦も色あせていた。

そんな廃寺の全体をちょっとだけ見て、ブーンは中に入った。

 ぎぃ、ぎぃっと床板が鳴る。うす暗い堂内を進むと、甘い香りがした。
桃があった。
その中の一つを手に取り、かぶろうとした時だった。

887:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/12/26(日) 21:46:37.21 ID:as1zCPBx0

「だめ」

小さいけれど鋭い声がブーンを制す。声がした方を見る。
堂の隅。
 薄暗闇にぼんやりと白い四肢が浮かんでいる。
目を凝らしてよく見ると、それは女の子らしかった。

( ^ω^)「なんだお、お前」

さして興味もなく言いながら、女の子の方に近づく。
だめ、という制止は聞かず桃にかぶりつく。
瑞々しい果汁と甘い香りが口の中に広がった。
女の子は、ああと悲しそうな声を出した。

 近くで見るとその子は、華奢で細くて、折れそうだった。
手足なんか、小枝のようだ。
五、六歳だろうか。髪が長い。
着ている一重の着物は錆色というのが一番近く、肌は生きているのか疑いたくなるほど白い。

 女の子の右手は、麻縄で柱にくくられていた。

890:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/12/26(日) 21:50:13.33 ID:as1zCPBx0
ミセ*゚ー゚)リ「どうして食べちゃったの?」

大きな瞳でブーンを見つめ、女の子が言った。目でブーンを責めている。

( ^ω^)「腹が減っていて、ここに桃がある。喰ってはいけない道理がどこにあるお」

答えながらまた桃をかじる。女の子の目に水気が多くなる。

ミセ*゚ー゚)リ「それはおじさんたちのよ。かってに食べたらおこられるよ」

( ^ω^)「どうせ奴らだって、どこかから奪ってきたものだ」

ミセ*゚ー゚)リ「……そうかもしれないけど。わたしがうたがわれちゃう」

繋がれているこの子が、桃のある場所まで手を伸ばすにはどう頑張っても距離がありすぎる。
しかし女の子はそこまで頭が回らないようで、ついに涙を流してしまった。
頬を伝う涙が、堂に入ってくる僅かな光を反射し光る。

891:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/12/26(日) 21:53:02.65 ID:as1zCPBx0
( ^ω^)「お前が疑われることはないお」

ミセ*゚ー゚)リ「どぉして」

( ^ω^)「死んだからだ」

ミセ*゚ー゚)リ「しん……だ?」

女の子はゆっくりと繰り返した。くるりと瞳が回った。
意味がわかっていないのだろうか。じっと、ブーンを見つめている。

( ^ω^)「俺が、殺した」

と言ってもしばらく女の子の表情は変わらなかったが、ちょっとしてから目を見開いた。

ミセ*゚ー゚)リ「すごい!」

 甲高い声が堂内にこだました。今度はブーンが目を見開く。

( ^ω^)「すごい?」

何がすごいと言う。低い声で問うた。
涙はすっかり乾いたようで、女の子は笑顔だ。

ミセ*゚ー゚)リ「あんな大きな男の人たちをころしちゃうなんて、お兄ちゃん、すごいね!」

何も答えず、ブーンは女の子を見た。女の子もブーンを見ていた。
見つめ合う数瞬、沈黙。

893:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/12/26(日) 21:56:01.64 ID:as1zCPBx0
ミセ*゚ー゚)リ「今までもたくさん、ころした?」

 くいっと首をかしげ、かわいらしく聞いてくる。無垢な表情で血なまぐさいことを言う。

( ^ω^)「覚えていないほど」

今まで自分がどれ程の人間を、どうやって、どうして殺したのか――本当に覚えていない。
覚えていないことも、どうも思わない。
 視界が一瞬ぼやけ、よろけそうになる。
頭を振り、踵を返した。

子どもだろうと繋がれていようと、人を助けるつもりはない。
 女の子とは反対側の隅まで行き横になる。

ミセ*゚ー゚)リ「ねえ、お兄さーん」

女の子の声が聞こえる。

ミセ*゚ー゚)リ「おにーさーん、ねちゃった?」

ブーンに、話しかけてくる。

ミセ*゚ー゚)リ「お兄さん、お名前は?」

女の子の呼びかけを、全て無視する。そのうち諦めて黙るだろう。
 目をつぶった。このまま眠ってしまおう。

894:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/12/26(日) 21:58:05.12 ID:as1zCPBx0
 眠って目が覚めたら、また歩き、また飲み食い、また殺すのか――
ふとよぎる、わけのわからない感情が吐き気とともに襲ってきた。

――なにかが、壊れそうな――

( ω)「うっ」

腹と口を押さえ、身もだえた。
 そのとき。

ぐるぐる、とおかしな音が聞こえた。はっと気付きブーンは音のした方を見る。
激情は消えていた。

ミセ*゚ー゚)リ「お兄さーん、わたし、おなかがへった」

泣きそうな声で女の子が話しかけてくる。
言ったそばから、きゅるきゅるとまた腹が鳴っている。

ミセ*゚ー゚)リ「お兄さーん、きこえてますかー」

( ω)「……うるさい」

 ブーンは立ち上がり、ゆっくりと女の子の方に近づいた。足が少しふらついた。
 女の子を見下ろす。女の子は見上げる。

刀を抜き、振り上げた。

896:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/12/26(日) 22:03:09.34 ID:as1zCPBx0
ミセ*゚ー゚)リ「わたしのことも、ころすの?」

女の子が平然と聞いてくる。

ミセ*゚ー゚)リ「わたしは、ころせないよ」

と、女の子が言った。
少し楽しそうだった。

 ブーンは何も答えず、刀を振り下ろした。

 がぢ、
と刃が硬いものに当たる。

床だ。

ブーンは刀を引き抜くとそのまま鞘におさめた。

女の子が不思議そうにブーンと、ブーンが今切ってくれた手の縄を見比べている。

ミセ*゚ー゚)リ「わたしを、ころさないの?」

女の子に怯えた様子はない。本当に、だた、心底不思議そうな声だった。

898:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/12/26(日) 22:05:20.99 ID:as1zCPBx0
( ^ω^)「……お前の腹の音は耳触りだが、ここで殺すと、今夜の寝床が血臭くてかなわないお」

ミセ*゚ー゚)リ「じゃあ首をしめたら、どう? 首をしめても人はしぬのでしょう?」

子どもが、いや、人が言うことではない気がした。
 何だこの子どもは、と思った。ふっと浅くため息をつく。

( ^ω^)「お前は死にたいのかお?」

ミセ*゚ー゚)リ「わたしはしなないわ」

きっぱり女の子は言った。何と言えばいいのか、ちょっとわからない。

( ^ω^)「腹が減っているならそこにある桃でも食って、さっさとどこかへ行け」

突き放すように言い、ブーンは床に寝転がった。
 女の子が何やかやと話しかけてくるが、全て無視して目をつぶり続ける。
しばらくすると、静かに動く気配があり、桃の香りが強くなった。
きっと上品に皮をむいて食べているのだろう。

ミセ*゚ー゚)リ「おいしい、もも」

嬉しそうな女の子の声を、まどろみの中で聞く。

ミセ*゚ー゚)リ「ありがとう、お兄さん」

目覚めたらこの子はもういないだろうな、そんなことを一瞬考えてから、眠った。

900:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/12/26(日) 22:07:15.74 ID:as1zCPBx0

 真っ白な目の前。
 立ちつくしていると、赤い着物の女の子が歩いてくる。
 その子に手を伸ばし、首を掴んだ。温かく、やわらかい。
 力を、込める、込める。ごり、とした首の骨。
 骨の砕けた感触が、指先から全身に伝わる。
 こわい。手を離したい、のに離せない。
 きっと、女の子は悲鳴を上げている。声は、聞こえないけれど。
 目を見開き、女の子はこっちを見ている。
 指は首に食い込んでいき、そのうち皮ふを破り、血があふれてきた。
 生温かい血が、手を濡らす。
 女の子は、あんまりにも双眸を見開くから、目玉がぼろんとこぼれてしまった。
 眼窩からも血があふれる。
 こわい。こわい。
 真っ白な世界が、赤くなっていく。雪に血潮を零(あや)すような。
 いつの間にか女の子は消えていて、いるのは手を血で濡らした自分だけ。
 こわい。こわい。こわい。こわい。誰もいない独り。
 誰か、助けて――――――。

902:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/12/26(日) 22:11:25.16 ID:as1zCPBx0
ぎぃっ
 木のきしむ音。

咄嗟に小刀を引き抜き、音のする方に突きつけていた。
刃先に、女の子がいた。大きな瞳がブーンの顔をのぞきこんでいる。
自分の首に突き付けられた小刀は目に入っていないようだ。

( ^ω^)「なぜ、出て行かない」

 ブーンの声はからからと乾いていた。喉がふさがっているようで、声が出にくい。

ミセ*゚ー゚)リ「外、雨がふっているのよ」

外に目をやると、音の無い雨が降っていた。
もう日が出ている時刻なのだろうが、うす暗い。

ミセ*゚ー゚)リ「お兄さん、なにかゆめを見ていた? たまにこわい顔していたよ」

 女の子は楽しそうだ。反対にブーンは、怖かった。
この子は、危ない――自分の中の何かが、壊されそうで。
なぜかこの時、女の子の瞳が揺らいだ。
 立ち上がり女の子を睨み付ける。怒りはないが、女の子に立ち去ってほしかった。

903:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/12/26(日) 22:15:18.16 ID:as1zCPBx0
( ^ω^)「去れ」

ミセ*゚ー゚)リ「いや」

( ^ω^)「殺すぞ」

ミセ*゚ー゚)リ「さっきはころさないって言ったわ」

( ^ω^)「気が変わったお」

ミセ*゚ー゚)リ「お兄さんにわたしはころせないよ」

ブーンはその言葉に苛立ちを覚えた。
顔立ちが険しくなり、女の子の首筋に当てた匕首に、少しだけ力を加えた。

ミセ*゚ー゚)リ「あ、ちがう、そうじゃないの」

女の子はゆっくりと、刃のあたったままの首を左右に振る。
その拍子に首の皮がふっつりと切れた。

ブーンは思わず何故か、小刀を引っ込めていた。

906:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/12/26(日) 22:17:34.51 ID:as1zCPBx0

ミセ*゚ー゚)リ「お兄さんにわたしはころせない、どうしたって」

( ^ω^)「……なぜ」

ミセ*゚ー゚)リ「わたしをころすのは、神サマだから」

 “神サマ”という言葉に、ブーンは絶対的な何かを感じた。

ミセ*゚ー゚)リ「神サマは、わたしの命をもっていくの」

女の子は笑う。にっこりと。
綺麗な奇麗な、人形めいた笑み。




( ^ω^)ブーンはひとのようです 第一話 -了-



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