ひとくちlw´‐ _‐ノvくりぃむ

ブーン系作品まとめブログ

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('A`)「あなたとは違うんです」

267:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/12/13(月) 17:37:43.46 ID:YjPywqX00
(  )『よお』

不意に聞こえてきた声で視界が開ける。
長いトンネルを抜けた直後のように視界がぼやけ、少しづつはっきりしていく。

('A`)「・・・ん・・・」

( )『気付いたみてーだな』

('A`)「!?」

声を『声』と認識し、そこで僕は驚いて『声』の方へ振り返る。
だがそこには誰も居なかった。

代わりに、どこまでも青い景色が続いている。
どこまでも広い空のような開放感も、深海のような不気味さも内包しない、
自己主張のかけらも感じないただの青。

触ろうとしても触れない壁があるかのように、僕の視界にはただただ青だけが広がっていた。
僕は一人で青の中にいた。

視界を正面に戻しても、やはり青が続くだけ。
やはり『声』はいなかった。

270:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/12/13(月) 17:40:28.41 ID:YjPywqX00
( )『残念ながら、お前には俺は見えないぞ』

『声』が僕に語りかける。低くもなく、高くもない。女性か男性かもわからない没個性的な声。

('A`)「・・・ここは?」

( )『お前の精神世界ってところだな。お前は、現実で何か大きなことに直面すると、決まっていつもここに来る』

現実、という単語を聞いて、僕は自身に何があったかを思い出そうとする。
でも、できない。僕の思考はまどろみにかかったようにはっきりせず、何も思い出すことができない。

助けを求めるように辺りを見回しても、僕以外誰の姿も見えない。
そのことが、なぜか異様に怖くなって、僕は頭を押さえた。

一人でいるという事実に、僕の頭が拒否反応を起こしているかのように、ずきずきと頭痛がした。

273:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/12/13(月) 17:42:32.32 ID:YjPywqX00
(  )『ここはお前の精神そのものだ。お前は今、青に染まっている。
   だがな、これは不変的なものじゃなく、変えようと思えば変えられるんだ』

それでも何かを思い出そうと必死になりながら、僕はこの世界で唯一の僕以外の存在である『声』にひたすら耳を傾ける。

(  )『お前はこの青を見て何を感じる?』

『声』の問いかけに、僕はまた周囲を眺める。そこにはやはり青しかない。
空も、海も、はたまた地面も何もなく、そこで僕は自分が青の上に立っていた事に初めて気付いた。

開放感も、不気味さも、はたまた存在感も何もない、青。
「何も感じない」事だけが、異様なまでに感じられる、青。

('A`)「・・・そうか」

この青の正体は、虚無だ。
「何もない」がある、一見すると矛盾を抱えた存在。

僕は今、虚無の大地を踏みしめていた。

276:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/12/13(月) 17:47:58.39 ID:YjPywqX00
(  )『何があったかまではわからんさ。俺はお前の精神世界の中でしか存在していないからな。それを知るのはお前だけだ
   ・・・そして、それを変えることができるのもお前だけだ』

頭にちくりと、何か小さなトゲが刺さったような感触。
それに続いて、猛烈な既視感が僕を襲った。

僕は、この青を知っている。僕の精神世界を支配しているこの青に、過去に何度も触れている。
この青の、虚無の正体を知っている。

('A`)「・・・無理だよ」

(  )『ん?』

('A`)「僕はこの虚無からは逃れられない。今まで何年もあがいてきて、それでも無理だったんだ。
   今さら変える事なんてできないんだ」

現実世界が崩壊を始めてから、僕はひとり奔走し続けた。
崩壊の発端は僕だった。僕がその手で、世界を混乱に陥れた。
混沌とした世界をさ迷い続け、僕は一人、世界を元に戻すべく努力した。少しでも多くの人を救おうとした。

そして、僕は人の深層に潜む醜悪さを目の当たりにした。
そこで僕はこの青の断片に触れ、一人だった僕は世界から孤立した。

そして僕は何も感じなくなった。
崩壊する世界にも、そこで喘ぐ人たちにも、何も感じれなくなったんだ。

278:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/12/13(月) 17:51:14.54 ID:YjPywqX00
(  )『だがお前は悔やんでいるだろう? こうなったことを。お前がここにいるのがそのなによりの証だ。
   ・・・そう簡単に諦めるなよ』

('A`)「悔やんでいるさ。それこそ頭が狂いそうなほど。でも・・・もう、無理なんだ」

(  )『甘ったれんな。最初に言っただろう、この青は不変じゃないんだ。すべてはお前次第で変わるんだ』

('A`)「・・・もう、僕にはできないよ。そんな強さは持っていないんだ。僕は君とは違って弱い人間なんだよ」

(  )『そんなこたねーよ。俺にできるんだからお前にもできる』

その時、僕は背後に人が立った気配を感じて振り返った。
だが、当然のようにそこには何もない。・・・と思ったが、違った。

『声』が、そこに立っていた。いや、立っているように見えたのは、僕が上から見下ろす形で『声』の姿を見ているからだろう
立体感もなく、表情もなく、輪郭だけははっきりしていた『声』は、真っ黒に塗りつぶされれて、僕を見上げるようにそこにいた。

『声』の正体は、僕の足元に居た。

279:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/12/13(月) 17:53:39.14 ID:YjPywqX00
('A`)『ほら、あるじゃねーか。この青だけだった世界に、青以外の何かが』

『声』は、僕の影だった。
輪郭だけは僕そのもので、中身は僕と全然違う、でも僕と繋がっている存在。

('A`)『俺は、お前だ。俺にできることはお前もできるんだよ。全てはお前次第なんだ。
   立ち上がれ。何があっても前を向け。例え世界中から罵倒され蔑まれようとも、前へ進まないと始まらない。
   ・・・それでも不安なら後ろを向けよ。俺は、いつだってそこにいる』

('A`)「・・・うん。僕にはまだやることがある」

影から目を離し、視線を前に向ける。
そこには変わらず青があったが、遠くに青以外の何かが見えた。

('A`)「もう行くよ」

('A`)『おう。達者でな』

その何かに向かって、僕は歩き出す。
それが何であろうとも、たどり着くまで僕は歩き続けるだろう。
僕は、もう一人じゃないのだから。

280:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/12/13(月) 17:54:33.15 ID:YjPywqX00
('A`)「あなたとは違うんです」 了



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  1. 2010/12/13(月) 17:54:33|
  2. 総合作品まとめ
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