ひとくちlw´‐ _‐ノvくりぃむ

ブーン系作品まとめブログ

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('A`)桃と太郎のようです

30:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/06/19(土) 21:42:14.65 ID:MlWLd5RDO

 昔々あるところに、とても仲の良い家族がありました。

 ――('A`)桃と太郎のようです

31:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/06/19(土) 21:44:31.12 ID:MlWLd5RDO
('A`)「ただいまかえりましたー」

 ドクオは、小さなからだをいっぱいに反らして言いました。
体についた汗のつぶが、きらきらと光って落ちていきます。

(*゚ー゚)「おかえりなさい。今日も裏山で遊んでたの?」

 すぐにお母さんが台所から出てきました。
とってもきれいでとってもやさしい、ドクオの大好きなお母さんです。

(*゚ー゚)「体じゅう泥だらけじゃない。それにひざから血が出てるわ」

('A`)「これくらい、けがのうちに入らないよ」

(*゚ー゚)「だめよ、ちゃんときれいにしなくちゃ」

 お母さんはドクオの服をぬがせて、ていねいに体をふきました。

(*゚ー゚)「あんまり長く遊んでちゃいけませんよ。
    あの山は、夜になるとお化けが出るんだから」

('A`)「お化けなんてうそっぱちだ。こわいものなんて、この村には何にもありゃしないよ」

 お母さんはあきれた顔をして、お父さんの方を見ました。

(,,゚Д゚)

 お父さんは、ドクオにも怖いものがあると知っていました。たったひとつ、ドクオが怖がるもの。
それは、満月の夜にきまって村にやって来る鬼たちでした。

33:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/06/19(土) 21:45:54.88 ID:MlWLd5RDO

 ニューソク村の砂浜から海をながめると、黒くて小さな島がみえます。
満月の夜になると、島のまわりはいくつもの光でいっぱいになります。
明かりをつけた鬼たちの舟が、いっせいに村をめざしてすすむのです。

 村の大人たちは、たくさんの食べものを浜に置いて、
それが済むと、家に帰ってしずかに夜をすごします。
鬼たちは、夜のあいだに食べものを運んで、そしてお礼の贈り物を残して帰っていくのです。

 贈り物とは、鬼たちが作った魔よけの道具であるそうです。
村の人々が病気にならないのはこれのお陰です。
ですが、詳しいことは村の長たちの秘密になっています。

 このようにして、ニューソク村の人々は古くから鬼といっしょに生きてきました。
でも、鬼の正体を知る人はだれもいません。

36:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/06/19(土) 21:48:59.93 ID:MlWLd5RDO
 ドクオはあるとき、大人たちに気付かれないようにして、鬼の姿を見たことがあります。

 ……鬼たちは、足下まですっぽり隠れる草木の頭巾をかぶっていて、
その上から目玉が描かれたお面をつけていました。
小さなドクオにとって、その格好はとても気味が悪いものでした。
月あかりの下で頭巾からはみ出た、細い枝みたいな銀色の腕を、ドクオは忘れません。

 ドクオは不安な夜を過ごすようになりました。鬼とは何なのか、気になって仕方がありません。
村の大人たちにきいてみましたが、だめでした。

 亡くなった人々が満月の夜にだけ村に帰ってくるとか、
子どもを連れ去って食べてしまうので、かわりの食べものを置くのだとか、
彼らは幽霊や神様と話ができるとか。

 ……彼らは天の川の端っこの国からやって来た生き物だ、なんて突拍子もないことを言う人もいました。

('A`)(こどもをばかにして、どうして大人は楽しいんだろう)

 ドクオは、大人たちのそんな様子をするどく感じ取る子どもでした。

(,,゚Д゚)「わからないものは、大人にもわからない。
     どうしても怖いなら、怖いままでいい。
     お父さんにだって怖いものはある」

('A`)「何!? 教えて!」

(,,゚Д゚)「それはな、怒ったお母さんだ」

 だから、ドクオはそんなお父さんが大好きでした。

37:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/06/19(土) 21:50:47.12 ID:MlWLd5RDO

 お父さんは、とても勉強熱心な人でした。
そして古い習わしに捕らわれたこの村を、少しだけ嫌っていました。
自分の息子には、都会へ出て、多くのことを知ってもらいたいのです。
都に行って、「自分の村には鬼がいる」なんて言ったら、きっとだれも取り合ってくれなくなるでしょう。

 たくさん本を読んで、都会の仕組みを知って、ドクオが大きくなったらその知識を教えてあげよう。
お父さんはいつもそう考えていました。

 その日の昼下がりも、お父さんは家にこもって本を読んでいました。
ドクオは村長のところへ字を習いに行っているので、家のなかはしいんとしています。

 落ちついて本を読める、と思っていたお父さんでしたが、なぜだか今日ははかどりません。
しだいに不機嫌になって、腕を組んでぼんやりしているうちに、お母さんが帰ってきました。

(,,゚Д゚)「……む、何だそれ」

 お母さんが持っている洗濯桶の中に、ちょこんと小さな桃がありました。

(*゚ー゚)「川上から流れてきたんです。かわいくて、つい拾ってしまいました」

 お父さんは身を乗り出して、その手鞠のような桃を見つめました。
お母さんは台所から包丁を持ってきて、桃を半分に切り分けました。
種はないようで、きれいな断面は銀色に光っているようにも見えます。
二人は半分ずつ桃を食べました。

38:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/06/19(土) 21:52:57.08 ID:MlWLd5RDO

 その桃は、鬼の贈り物のひとつでした。

 本当なら村の長によって、川の神様に捧げられるべきものだったのです。
何かの拍子に川へ落ちたそれを、偶然にもお母さんは拾ってしまったのです。
神様の食べものに手をつけた二人は、たちまち人ではなくなりました。

('A`)「ただいまかえりましたー」

 不幸にも、ドクオはその様子を見てしまいました。
二匹の化け物は、抱き合って、絡んで、喘いでいました。

 お母さんだった方の化け物と目が合った時、ドクオは身も凍る思いでした。
目の前が真っ白くなって、勉強の道具も放り出して逃げました。

 大急ぎで村長の家に駆け込んで、めちゃくちゃに騒いで助けを求めました。
そこにいた大人を連れて自分の家に戻ると、いつの間にか現れた鬼たちが家を囲んでいました。

 満月は一昨日見たばかり。それにまだ夕方です。
この家族に起きた出来事は、人にも鬼にとっても大変な事件でした。

 大人と鬼たちの間で何日も話し合いがあったようですが、子どものドクオには何も知らされません。
ずっと後になってから、ドクオは知るのです。
化け物になった両親はこの村に住めず、鬼に預けられることになったと。

39:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/06/19(土) 21:55:43.99 ID:MlWLd5RDO

 その日から、鬼の贈り物にたくさんのお金が添えられるようになりました。
どこから持ってきたのかはわかりませんが、ドクオの暮らしを助けるために使ってほしいとのことです。

 これが鬼たちの罪滅ぼしでした。でもドクオはちっとも嬉しくありませんでした。
村の長たちも、ドクオにいっぱい優しくしました。
でも他の大人たちは、ドクオのことを陰で「鬼の子」と呼ぶようになりました。

 そんな暮らしが何年も続くうちに、ドクオの心は荒んでいくのでした。

40:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/06/19(土) 21:58:11.34 ID:MlWLd5RDO
  _
( ゚∀゚)「おいお前、何見てんだよ」

「ひっ、ごめんなさい……」

 ジョルジュは背が高く、荒っぽくて声の大きな男です。

( ・∀・)「こらこら、人に突っ掛かるのは止したほうがいい。
     せっかく酔っていい気持ちになってるのに。ねぇドクオ」

 モララーは冗談を言うのが好きで、人に媚びるのが何より得意な男です。

('A`)「……」

 ドクオは毎晩遅くまで、街に出て酒を飲んだり賭けをしたりして過ごします。
ニューソク村に帰るのは、遊ぶためのお金が無くなった時だけになりました。

 あの勉強好きだったお父さんの気持ちは、ドクオに届いていませんでした。
それどころか、ドクオは都会というものにがっかりするばかりです。
どこへ行っても、ジョルジュやモララーのような不真面目な人間が目につきます。
ドクオは二人が嫌いでした。でも、ひとりぼっちはもっと嫌でした。

( ・∀・)「ドクオ、ちょっと思いついたんだけど、遊里にでも寄ってみないか?」

('A`)「……今日は早く寝たい」
  _
( ゚∀゚)「びびってるのか? まさか初めてって訳じゃないだろう」

('A`)「馬鹿にするな。……まぁ、どうせ行くなら一等の女を買おう。下品な田舎娘じゃつまらないからな」

41:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/06/19(土) 22:01:12.46 ID:MlWLd5RDO

 街で一番の遊廓に着いた時には、夜はすっかり更けていました。
色町の明かりは、空の星たちに負けないくらい派手できれいです。

 受付を済ませた三人は、さっそく座敷へ招かれました。艶やかに着飾った女たちが、丁寧に頭を下げて迎えます。
それから少しの間、飲んだり歌ったりして夜を過ごしました。

 しかしドクオはほとんど頷いてばかりで、あまり会話に混ざろうとはしません。
それを見たジョルジュとモララーの二人は、さっさと気に入った女を捕まえて奥の部屋に入っていきました。
座敷には、ドクオと一人の女が残されました。

ξ゚⊿゚)ξ「……」

('A`)「……」

 女は薄い緑の上着を羽織っていて、袖の隙間から白い腕が伸びています。

ξ゚⊿゚)ξ「あのお二人と違って、ずいぶんと物静かな方ですこと」

 静かな座敷に、女の声が高く通りました。

42:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/06/19(土) 22:05:02.07 ID:MlWLd5RDO

 ドクオは知らん顔をしてたばこに火を付けます。

ξ゚⊿゚)ξ「……私、息苦しくってたまりません」

('A`)「どうして」

ξ゚⊿゚)ξ「あなたずっと黙っておいでなんですから」

('A`)「何を話したらいいかわからない」

ξ゚⊿゚)ξ「嘘ね。女を騙すことくらい慣れてらっしゃるでしょう。そんな匂いがするわ」

 女はドクオの様子をじいっと見つめて、品定めしています。
そうして、お金の匂いを探り当てたようでした。

('A`)「ただの田舎者だよ」

ξ゚⊿゚)ξ「その割には立派な着物をお召しだわ。あなたも人をからかうのが好きみたいね」

('A`)「……」

ξ゚⊿゚)ξ「許嫁も、恋人だってもう何人かあるのでしょう。ねぇ、どこにお住まいなの? ご両親は?」

 やっと静かに飲んでいられると思っていたドクオでしたが、二人きりになった途端、
女はドクオの身分について矢継ぎ早に尋ねてきます。白粉の匂いがぐっと近づいてきます。

43:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/06/19(土) 22:08:12.70 ID:MlWLd5RDO

 ドクオは、ずっと黙っているつもりでした。
他人と深く関わることが、もう面倒くさくなっていました。
しかし、この女の一言がドクオの傷口に触れてしまったのです。

('A`)「親はいない」

 目の前の景色が遠退いていきます。

('A`)「会いたい」

44:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/06/19(土) 22:12:13.76 ID:MlWLd5RDO

 その後ドクオは二人を置き去りにして、金を払ってさっさと遊廓を去りました。
女の匂いが体じゅうにまとわりついています。

 ……あの女は、毎日を食いつなぐために体を売って生きています。
あの二人の男も、楽をして暮らすために派手な格好をして、人を脅して傷つけながら生きています。
人はみんなそうです。真面目な人もそうでない人も、結局は欲望を叶えるためだけに生きているのです。

 あの化け物になって愛し合った夫婦も同じです。
根っこのところは、人も化け物も変わりません。

 夜風がドクオの体を冷やしていきます。
ドクオは、何もかもが嫌になりました。

46:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/06/19(土) 22:15:25.40 ID:MlWLd5RDO

 夜明け前のニューソク村に、ドクオの姿がありました。
どこからか金棒を持ってきて、村の真ん中にある御社の門を叩き壊そうとしています。
御社は村を守るまじないの要となる場所で、鬼の贈り物の多くが納められています。

 村人たちが飛び起きて、何の騒ぎかと駆けつけました。
しかしその時のドクオの様相は、誰もが怖じ気づいて近寄れないくらい凄まじいものでした。

 御社の中は銀色の光で満たされていました。
小さな盃の上に載せられたきび団子が、真珠のように輝いています。
ドクオはそれを拾い上げ、一息に飲み下しました。

 ニューソク村から鬼の守りが失われ、ドクオの体が人の域を離れていきます。
体じゅうの筋肉が一気に太り、肌は錆のような色へ変わり、二本の角が額の皮を破って生えてきました。

 おののく人の群れをかきわけ、化け物が大股に歩いていきます。
砂浜まで辿り着くと、化け物は破けた上着で金棒を腰に結び、海に飛び込みました。
ざぶざぶと波を裂いて沖へ進んでいって、そうして、見えなくなりました。

47:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/06/19(土) 22:17:52.02 ID:MlWLd5RDO

 その日から、ニューソク村に鬼が来ることはなくなりました。
村は疫病や飢饉に襲われ、たちまち廃れていったそうです。
その後ドクオがどうなったのか知る人はいません。
ただ、鬼ヶ島の言い伝えだけが残されています。
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  1. 2010/06/20(日) 13:31:06|
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  4. | コメント:1
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コメント

太郎はどこですかw
  1. 2010/06/21(月) 20:59:42 |
  2. URL |
  3. 名のある名無し #-
  4. [ 編集 ]

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