ひとくちlw´‐ _‐ノvくりぃむ

ブーン系作品まとめブログ

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lw´‐ _‐ノv月夜のようです

539:lw´‐ _‐ノv月夜のようです :2010/03/20(土) 20:56:17 発信元:202.229.132.2

俺には兄、正しくは姉がいる。
自身の性別は女性だが、自分は男だと言い張る。
それがあまりに必死な主張だから、仕方なしに俺は便宜上兄として接し、でも内心は義理の姉であって欲しかった。
親の再婚後に初めて兄を見た瞬間、俺は恋愛感情とはいかなるものかを知るが、世間体を少しは理解していた俺に為す術はなく。
結局、俺と兄は家族のまま二度目の離婚を迎え、それっきりだった。

(´<_` )「覚えてくれてると良いんだがな」

月夜の晩に、一年と二日ぶりの再会である。

駅に程近いアパートの二階、角部屋のドアには知らない名字の表札。
向こうの再婚相手だろうか?それとも旧姓?

(´<_` )「どうでもいいか」

チャイムが鳴ってしばらく後、兄がドアを開けた。
開けたは良いが、ドアの蝶番が心配になる勢いで、しかもパジャマ姿なので色々な意味で驚いた。
正直に表現すると、

(´<_`* )(パジャマだと!やっべ可愛いうわやっべ!)

とまあ、兄を見て脳内が興奮している俺を見て、兄は少し怒りぎみだ。

540:lw´‐ _‐ノv月夜のようです :2010/03/20(土) 20:57:52 発信元:202.229.132.2

lw´#‐ _‐ノv「ばかっ!着替える暇くらいあたえろ!」

ちなみに俺が兄に電話連絡したのは、チャイムを押す一分前。

(´<_` )「すまん、電話したら起きてたんでつい」

lw´#‐ _‐ノv「現在時刻!」

(´<_` )「フタフタマルナナ」

lw´#‐ _‐ノv「わかってて押し掛けんなボケ!」

なんやかんや、兄は俺を忘れてはいなかったようで、ひとまず安心した。
居間に通された俺は、兄の淹れた玄米茶を味わいながら、着替える兄を待つ。
ああ、着替え覗きたいなあ。

542:lw´‐ _‐ノv月夜のようです :2010/03/20(土) 21:01:21 発信元:202.229.132.2

(´<_` )「しっかし、なんとも質素な塒だこと」

lw´‐ _‐ノv「失礼な、寝室はもっと生活臭に溢れとるわ」

(´<_`; )「あ、着替え終わったか。洗濯はちゃんとしてるんだろうな?」

lw´*‐ _‐ノv「ふん、昔と一緒にするな。人は成長するのだよ」

(´<_` )「胸以外の変化は見えないぞ」

lw´‐ _‐ノv「……だまれ小僧」

(´<_` )「まだサラシ巻くのか?」

lw´‐ _‐ノv「いや、そういうことはやめたんだ」

(´<_`; )「どうしたんだ?あんなに拘ってたのに」

lw´;‐ _‐ノv「あー…実はな」

うつむき、まるで嘘を自白する時のようにばつの悪そうな兄。
なぜだろう、嫌な予感しかしない。

lw´‐ _‐ノv「…告白、されたんだ」

(´<_`; )「へ」

lw´;‐ _‐ノv「せめて二文字以上反応しろよ」

544:lw´‐ _‐ノv月夜のようです :2010/03/20(土) 21:06:31 発信元:202.229.132.2

全身が捻られているような感覚。
焦りとも嫉妬とも絶望とも喜びともわからない、混沌とした痛みが心を蹂躙する。

lw´;‐ _‐ノv「…なにか言え」

(´<_`; )「…そうか…そうだよな、あんた綺麗だものな」

lw´‐ _‐ノv「男でも良いと言われたよ、君が男ならホモになる、とな」

(´<_` )「たいしたものだな」

lw´‐ _‐ノvああ、流石にちょっと引いた

(´<_` )(ざまあwwwwwwwwww)

(´<_` )「ん?あんた、男の格好してたのか?」

lw´‐ _‐ノv「ああ、胸もなるべく目立たないようにしてたが、どういう訳か見抜きやがってな」
(´<_` )「いやまあ、制服でもないしな、目ざとい人は気付くだろ」

lw´‐ _‐ノv「やはり、はやく手術を受けるべきだったよ」

547:lw´‐ _‐ノv月夜のようです :2010/03/20(土) 21:08:15 発信元:202.229.132.2

(´<_` )「それは賛同しかねると、前にも言った」

lw´‐ _‐ノv「まだ覚えてたのか、あの時の話」

それより俺としては告白した野郎が凄く気になる、ていうか会って殴り倒したい。
だがとにかく重要なのは、兄は、そういうことはやめた、と言った。
あの兄が、断固として俺と男子トイレを使用し続けた兄が。
嫌な過去を克服できるほどに良い男なのだろうか?俺にはついぞできなかったことを、告白した野郎はやってのけた。

(´<_` )(尊敬すべきかな)

(´<_` )「なあ、あんたは告白をされた。して、返事は?」

lw´‐ _‐ノv「保留。だってまだ男になりたいし」

(´<_` )「でも胸」

lw´‐ _‐ノv「男になりたいけど、最近ある感情を自覚した」

550:lw´‐ _‐ノv月夜のようです :2010/03/20(土) 21:14:18 発信元:202.229.132.2 [改行が多すぎるなんて…]

(´<_` )「……」

lw´‐ _‐ノv「ひとつ質問だ。おまえ、恋愛経験は?」

(´<_` )「…ある、あるともさ」

lw´‐ _‐ノv「私は初めてだ。同性愛者の気持ちが少しだけわかったよ」

(´<_` )「…俺は、あんたが同性愛者でも軽蔑しないよ」

lw´*‐ _‐ノv「ありがとう」

ああ、そうか、そういう逃げ道もあったんだな。

lw´‐ _‐ノv「ところで、おまえはなんで家に来たんだ?」

552:lw´‐ _‐ノv月夜のようです :2010/03/20(土) 21:16:35 発信元:202.229.132.2


*****


人気のない夜のアスファルトを歩き、小さな公園へ。
兄と夜に散歩したのは、二年と五ヶ月と三日ぶりだ。
雲の多い空模様で、黄金色に輝く月が雲を明るく照らし出す。
やはり雲がある方が、月は映える。

lw´‐ _‐ノv「まさか、散歩したいとはな」

公園のベンチに座り夜空を見上げていると、兄が可笑しそうに言った。

lw´‐ _‐ノv「そういえば、おまえから教わったんだよな」

(´<_` )「俺、なにを教えたっけ」

(´<_` )(できればあんたに男を教えたかったがな)

lw´‐ _‐ノv「虹だよ。夜中、雲が月の周りを囲むと、照らされた雲に丸い虹が見える」

(´<_` )「ああ、言ったなそんなこと」

(´<_` )(よく覚えていたな、随分昔の話なのに)

lw´‐ _‐ノv「あの時はどうでもよかったが、こうして目の当たりにすると凄く良い、神秘的だな」

554:lw´‐ _‐ノv月夜のようです :2010/03/20(土) 21:20:55 発信元:202.229.132.2

(´<_` )「虹っていっても、ただの光の輪が見えるだけだがな」

lw´‐ _‐ノv「だが綺麗なものは綺麗だ」

(´<_` )「俺はもう怖いや。綺麗すぎて、狂いそうだよ」

lw´‐ _‐ノv「狼にでも変身するのか?」

(´<_` )「男は皆狼らしいな」

lw´‐ _‐ノv「草食系とかいう連中は、草食性の動物に変身するのかね」

(´<_` )「それは違うだろ、どう違うか知らんが」

lw´‐ _‐ノv「まあ、どうでもいいか」

思い出話やくだらない、どうでもいい会話。
不毛だ。
でも、これでいい。
俺はこんな会話を望んでいた。
兄と昔のように過ごしたかった。
…欲を言えば姉であってほしかったのだけれど。

lw´‐ _‐ノv「…なあ、また話そうじゃないか」

(´<_` )「ああ、できたらな」

556:lw´‐ _‐ノv月夜のようです :2010/03/20(土) 21:25:17 発信元:202.229.132.2


lw´‐ _‐ノv「おまえには世話になったし、死んだ後にでもデートしてやるよ」

(´<_` )「そりゃ嬉しいな」

lw´‐ _‐ノv「次に会う時は、ちゃんと時間を考えろよ?」

(´<_` )「ああ、約束する」

lw´‐ _‐ノv「あと、近いうちにシベリアかVIPでおまえの黒歴史ノート晒すから」

(´<_`; )「ちょっとまて本当やめてそれ頼むから」

lw´‐ _‐ノv「おまえ、油彩画はまともに描くのになんであんな…お兄ちゃんは悲しいです」

(´<_`; )「お願いしますごめんなさい勘弁してまじたのんますオネガイシマスカラ!」

lw´*‐ _‐ノv「ふふ、冗談だって。本当おもしろい反応するわ」

558:lw´‐ _‐ノv月夜のようです :2010/03/20(土) 21:26:36 発信元:202.229.132.2

兄の微笑みは、間違いなく満月にも勝るもので、それを久しぶりに見れた俺は幸福感で満たされた。

lw´‐ _‐ノv「さて、と。明日休みとはいえ、もう遅い。戻るか」

(´<_` )「そうだな」

思い出話で盛り上がり、ゆっくり歩いた帰り道。
大好きだとは告げぬまま、ドアの前で鍵を開けた姉に、俺は別れを告げることにした。

(´<_` )「もう帰るよ。遅くにすまんかった」

lw´‐ _‐ノv「そう思うなら時間考えろ」

(´<_` )「じゃあな兄貴…いや姉さん」

lw´‐ _‐ノv「…兄貴と呼べ、弟よ。またな」

(´<_` )「ああ、そんじゃあな」

560:lw´‐ _‐ノv月夜のようです :2010/03/20(土) 21:30:42 発信元:202.229.132.2

兄に手を振り、背を向け、アパートの階段を降りる。
最後の一段を降りたところで、俺の両脚は消えていた。
自分が、下半身から音も光もなく消えていく。

(´<_` )「情けないな俺は。死んだってのに、一番云いたいことを云えないなんて…」

(´<_` )「まあでも、元気そうで良かった」

さよなら、俺の大好きな…



*****



lw´‐ _‐ノv「…馬鹿なやつ。葬式のあとに会いにきてどうすんだよ」

lw´‐ _‐ノv「お茶だって、初めて淹れたのに残しやがって」

lw´‐ _‐ノv「つーか私のあげたネックレス、こんな所に落とすんじゃないよ」

lw´‐ _‐ノv「…ちゃんと向こう側に持ってけよ…」

lw´‐ _‐ノv「……」

lw´‐ _‐ノv「じゃあな、弟よ。愛してるぞ」
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  1. 2010/03/23(火) 00:54:50|
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