ひとくちlw´‐ _‐ノvくりぃむ

ブーン系作品まとめブログ

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
  1. --/--/--(--) --:--:--|
  2. スポンサー広告

( ^ω^)は研くようです

883:( ^ω^)は研くようです :2010/03/10(水) 04:20:38 発信元:219.125.145.45
とある将軍様が天下を統一した時代のこと。


武士は刀を持ち、農民は農具を持っていたこの時代に、ある刀鍛冶がいた。



( ^ω^)「とうとうこの日が来たおね」



彼の名は、ブーン。
十六歳で、刀匠ヒッキーに弟子入りし、現在四十歳だ。

彼の師であるヒッキーは、武士の間では名を知らぬ者がいないほど、有名な人物だった。
ヒッキーが叩き、研き上げた刀は、大名をも唸らせる程の出来であった。


ヒッキーの下へ弟子入りしてから初めの四年は、ブーンはただひたすらに鋼を叩き続けた。

しかし叩くといっても、仕上げまでする訳ではない。
仕上げどころか、ブーンは材料である玉鋼だけを、ひたすら叩いていた。

884:( ^ω^)は研くようです :2010/03/10(水) 04:23:52 発信元:219.125.145.58 [sage]
弟子入りして一年経った頃、ブーンはヒッキーに申し出たことがあった。



( ^ω^)「――師匠」

(-_-)「……なんだ? 早く叩かないか」

( ^ω^)「弟子入りして一年、僕も刀を叩き上げたいですお」

(-_-)「駄目だ」

(;^ω^)「なんでですかお? 他の所では、二年目には刀を叩かせてもらってるお」

(-_-)「他では良くとも、ここでは駄目だ」

(;^ω^)「で、でも――」

(-_-)「……ならば、今回だけ許そう。叩いてみるがいい」

(*^ω^)「本当ですかお!?」

(-_-)「但し、私は一切口を出さぬ。全てを一人でこなせ」

885:( ^ω^)は研くようです :2010/03/10(水) 04:27:05 発信元:219.125.145.48 [sage]
一年間、玉鋼だけを叩いてきたブーンにとって、
「刀を叩いてよい」
という一言は、何より嬉しい言葉だった。

刀を作り上げるまでの工程は、一年間隣で見ていたのでわかっている。
それに、一年間ずっと叩いてきたのだ。



( ^ω^)(もしかしたら、師匠より良い刀が打てるかも……)



そんな下心を持ちつつ、ブーンは刀を打ち始めた。

886:( ^ω^)は研くようです :2010/03/10(水) 04:30:14 発信元:219.125.145.88 [sage]
そして、ブーンは初めての一振りを叩き上げた。のだが、



( ´ω`)「……」

(-_-)「お前が見て、これはどうだ?」

( ´ω`)「……鈍刀――いえ、ただの鉄屑ですお」

(-_-)「明日から、お前はこの様な刀を打ちたいのか?」

( ´ω`)「……」

(-_-)「お前は基本がまだ出来ていない。基本をしっかり身に付けてから、言いたいことを言え」

( ´ω`)「……わかりましたお」



この日を境に、ブーンは師匠に一切物申さなくなった。

887:( ^ω^)は研くようです :2010/03/10(水) 04:34:23 発信元:219.125.145.54 [sage]
とはいえ、得たものもあった。

たどたどしくはあったが、一度全工程を経験したブーンは、
より一層師匠の行動に注目するようになった。

日が経つにつれ、師匠の動きに一切の無駄が無いことに気が付き、それを見て学んだ。


ブーンにとって、学べることが無い日など、一日も無かった。




それから三年、玉鋼を叩くだけだった一年目とは違い、師匠の行動全てをブーンは学んでいた。

それでも、師匠から命じられたのは、玉鋼を叩く事だけだったが。

888:( ^ω^)は研くようです :2010/03/10(水) 04:38:20 発信元:219.125.145.45 [sage]
弟子入りして四年目のある日、ブーンは師匠に呼ばれた。


( ^ω^)(叩き方が悪かったのかお……?)


そう思っていたブーンに、ヒッキーは告げた。



(-_-)「ブーン、叩くのは終わりだ」

( ^ω^)「すみませんお、今回は……え?」

(-_-)「今日からは、研け」

( ^ω^)「はい?」



ブーンは耳を疑った。
師匠は何を言っているのだろう?、と。

889:( ^ω^)は研くようです :2010/03/10(水) 04:41:54 発信元:219.125.145.47
( ^ω^)「研くって……僕が?」

(-_-)「そうだ」

( ^ω^)「師匠が叩いた刀を、砥石で研ぐ、という最後の工程を僕が?」

(-_-)「そんな説明口調をせずに、さっさと研け」

(;^ω^)「そんな、無理ですお」



ずっと師匠を見てきたから、とはいえ、いきなり刀を研き上げることなどできるはずもない。

しかし、ヒッキーは言った。



(-_-)「すぐに完璧にする必要は無い。今は経験しろ。いずれ役に立つ」



ブーンは、刀を叩き上げる前に研くことを経験させることに、疑問を持ったが、師匠の言葉に従って刀を研き始めた。

890:( ^ω^)は研くようです :2010/03/10(水) 04:45:47 発信元:219.125.145.87 [sage]
刀を研く、というのもまた大変な作業である。

目の粗い砥石で形を整え、細かい砥石で刀の見所を引き出す。
それから砥石目を拭い、磨いて刃文を浮き立たせる。


それを初めてでやれ、という方が無茶である。



(;^ω^)「研ぎすぎて刀が薄く!」

(;^ω^)「磨きすぎて鏡のようになっちゃったお!」

(;^ω^)「あぁっ! 傷が!」



悪戦苦闘しながら、それなりに研げるようになった頃には、弟子入りから既に八年が経っていた。

891:( ^ω^)は研くようです :2010/03/10(水) 04:52:47 発信元:219.125.145.86 [sage]
それでも研ぎ続けろ、と言う師匠に対し、ブーンは反論することなく、刀を研ぎ続けた。

そして弟子入りしてから、十年目のある日、師匠が倒れた。



(;^ω^)「師匠!」

(-_-)「……ブーンか」

(;^ω^)「師匠、お身体は……」

(-_-)「自分の身体だ。私が一番わかっている」

(;^ω^)「……」

(-_-)「逝く前にお前に伝えたいことがある」

( ^ω^)「――はい」

(-_-)「お前が最初に作った刀を、研げ」

( ^ω^)「……あのナマクラ刀をですか?」

(-_-)「そうだ。あれを完璧に研いでみせろ。そしたら、私の机を開け」

( ^ω^)「――わかりましたお」


言葉を交わした次の日の夜明けに、ヒッキーは息を引き取った。

892:( ^ω^)は研くようです :2010/03/10(水) 05:02:13 発信元:219.125.145.54 [sage]
ブーンは師匠の言葉に従い、あの鈍刀を研いだ。

しかし、師匠が叩いたものと違い、過去の初心者だった自分が作った刀であり、一筋縄ではいかない。
ブーンはそれを慎重に、細かく研いでいった。


その作業は数ヶ月に及んだ。






( ^ω^)「――出来たお」


自分がこれ以上する事はない、という出来だ。

これなら、一般の刀と比べても、見劣りしないだろう。

893:( ^ω^)は研くようです :2010/03/10(水) 05:07:21 発信元:219.125.145.52
無事研ぎ終えたブーンは、師匠の言っていた机を開けた。

そこには一振りの刀と一通の手紙が入っていた。
手紙には、師匠の達筆な字が書かれていた。


『ブーン、これは私が叩いた生涯最高の一振りだ。
 今、世の中は平和だろ?
 そこに必要なのは人切り刀ではない。
 私が、今のこの世の為に作ったこいつを、お前が仕上げてみせろ』


その刀は、人を切る為に作られた物ではなく、見た人を魅了する何かがあった。



そして手紙にある通り、確かに今は泰平の世の中、となっていた。


( ^ω^)(まさか師匠はこのことがわかってて……)

894:( ^ω^)は研くようです :2010/03/10(水) 05:12:03 発信元:219.125.145.86 [sage]
師匠の集大成ともいうべきこの刀。
いかなる失敗も許されない。




( ^ω^)「……」




ブーンは一本の刀に全力を注ぎ、再び数ヶ月の時間をかけて研いだ。

895:( ^ω^)は研くようです :2010/03/10(水) 05:17:17 発信元:219.125.145.55
完成したその刀は、今はある大名が持っている。
いくら見栄えを重視したとはいえ、刀は刀だ。
刀鍛冶の自分は刀を作るまでが仕事なのだ。
だから、刀鍛冶の名前など刀に入れなくても構わない。



( ・∀・)「師匠、今日からよろしくお願いします」

( ^ω^)「よし、まずはひたすら叩いてもらうお」



それに、どうして自分だけがその刀に名前を入れることが出来ようか。



( ^ω^)は研くようです  終
スポンサーサイト
  1. 2010/03/10(水) 18:54:50|
  2. 総合作品まとめ
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:1
<<( ^ω^)が路地裏でバーを営んでいるようです | ホーム | (・∀・)デジタルリマスターして発売されるそうです 後日談>>

コメント

久々に傑作短編を見た
  1. 2010/03/12(金) 13:44:59 |
  2. URL |
  3. 名のある名無し #-
  4. [ 編集 ]

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバック URL
http://potenta.blog13.fc2.com/tb.php/129-68754a17
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。