ひとくちlw´‐ _‐ノvくりぃむ

ブーン系作品まとめブログ

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
  1. --/--/--(--) --:--:--|
  2. スポンサー広告

('A`)はカード発行人になったようです 2/2

790:('A`)はカード発行人になったようです :2010/02/20(土) 18:47:55 発信元:220.98.213.242
( ´W`) 「やはりそうだったか」
    桜の樹の影から所長が出てきた。

('A`) 「所長」
  ドクオは我に帰った。





( ´W`) 「黙ってついてこい」

     ドクオはまるで夢遊病者のように、所長の後についていった。
     闇は二人を飲み込むほどに濃くなっていた。

878:('A`)はカード発行人になったようです :2010/02/21(日) 07:28:58 発信元:220.98.213.242
やってきたのは、バーというより立ち飲み屋というべきヲッカ販売所であった。
2chスレ

     普段の紳士的な所長ではなかった。まるで、肉体労働の親方のようだった。
     あふれんばかりにショットグラスにヲッカを注ぐと、
( ´W`)「飲め!さあ、飲むんだ、グズ野郎」 と迫ってきた。
    ドクオは呆気にとられていた。
    ぐっと煽る。
   
( ´W`)「お前あの娘が好きだったんだろう?」

('A`) 「わかりません」
    焼け付く喉をゼイゼイいわせながら答えた。

( ´W`)「そうやってお前は自分の気持ちをはぐらかしつづけたんだ。
     いいだろう、もう少し正直にならせてやる」

    2杯目のヲッカを注ぐ。ドクオは性急に煽った。

('A`)「そんな好きだなんて....ツンは俺より全然頭がよくて、特別で、俺みたいなグズとは
   違うんです....」

( ´W`)「ああ確かにてめえはグズだ。 馬鹿、ドジ、グズ、死ね!」
   
    ドクオは朦朧とした意識の中で、先ほど自分自身に対して吐いた言葉を所長が言っているのを聞いて
    少し驚いていた。もしかしたら口に出して言っていたのかもしれない、とぼんやりと思った。

879:('A`)はカード発行人になったようです :2010/02/21(日) 07:31:17 発信元:220.98.213.242
( ´W`)「でも俺はお前に同情してやる。だからさあもっと飲め!」

   3杯目を注いだ。でもそれはただの水であった。もうすでにドクオが前後不覚なのを見てとったからである。
   ドクオはのろのろと煽った。

( ´W`)「お前あの娘と一緒にいたいんだろう?」

('A`)「はい」

( ´W`)「俺の目を見て言え!お前ずっと待ってたんだろう?」

('A`)「はい」

( ´W`)「グズ野郎が、そういうのを好きっていうんだよ」

('A`)「そんな好きだなんて.....ただ、いつもツンは朝俺を迎えに来てくれて...そして、いつかまた俺を連れ出してくれると
   思っていて....でも...」

( ´W`)「でもなんだ」

('A`)「ツンが、ツンがあんな風に迷ってただなんて思ってなくて.....俺は何にもしてやれなくて....でも遠くに言ってほしくなくて」

880:('A`)はカード発行人になったようです :2010/02/21(日) 07:37:43 発信元:220.98.213.242
( ´W`)「ガキみたいな事いいやがって。てめえは仕事も気持ちも生半可な青二才だ!
    なぜ好きだ、と言えなかった?」

    確かにその通りだ。俺は、すべてを曖昧なままにしておきたかったのだ。
ツンがこの街を去るときも、ドクオは自分からよそよそしく離れていった。怖かったのだ。
その一方で、「いずれツンが戻って来て、この退屈でしょうもない日常から俺を救ってくれるかも知れない」
    という根拠のない希望を捨てられずにいた。モラトリアムに浸っていた。


( ´W`)「もうお前に出来ることはただ一つしかない。あの娘が最後に言った言葉、覚えてるか?」

('A`)「覚えてません」

( ´W`)「馬鹿野郎!思い出すまでくたばってろ!」

('A`)「そうしま......す」
   不意に足の力が抜けて、ドクオはお尻からごろんと倒れた。
   そして、そのまま仰向けにいびきをかいて寝てしまった。

881:('A`)はカード発行人になったようです :2010/02/21(日) 07:39:45 発信元:220.98.213.242
マスターはドクオに手際よく毛布をかけてやり、またグラス磨きに専念し出した。
マスターはドクオによく似た男であった。所長に目を合わせずに声をかける。

( 'A`)□「あんた、久しぶりだね。炭鉱を引退してからしばらくご無沙汰だったじゃないか」

( ´W`)「ああ、ここにくると昔の言葉遣いになっちまう。やだな」

( 'A`)□「今の炭鉱の親方が懐かしがってたよ、よく飲みにつれていってもらった、
     ひでえ目によくあわされたって」

( ´W`)「あの野郎、フフフ
     あ、そうそう。
     あいつがまだひよっこだったときに、あいつをつるはしの柄で殴ってやったことがあった。
     それを真似しやがってあいつ、この坊やを殴ったんだ。そしたらこいつ逃げ出して、カード発行所に来たんだよ。
     これも何かの因果かな」

882:('A`)はカード発行人になったようです :2010/02/21(日) 07:40:50 発信元:220.98.213.242
マスターは半笑いしてテレビのスイッチをつけた。この時間帯になると、古いジャズの演奏をひたすら流している。
   
http://www.youtube.com/watch?v=uLeKvqrQVIw&feature=related

           ♪孤独のなかで

           君の面影が離れない

           過ぎ去った日々とともに

かつての鬼親方はピアノに合わせてハミングした。


( 'A`)□「へたくそ」 


という賛辞をすぐに頂戴した。

883:('A`)はカード発行人になったようです :2010/02/21(日) 07:44:30 発信元:220.98.213.242
ドクオは夢を見ていた。それは雪の日の光景だった。学校に遅刻しそうになったツンとドクオは、
近くをとおりかかったソリの荷台に飛び乗った。でも、ソリが大きく揺れて、ドクオはふるい落とされてしまった。
走り去るソリの上で、ツンがドクオに何か言おうとしている、何だ.....?

ξ゚⊿゚)ξ「私にも、カードちょうだい」

ドクオはガバッと飛び起きた。
これだ。別れ際にツンが言った言葉。そういえば、まだツンにカードを渡してなかった。

その時彼はヲッカ販売所の床の上で一晩を過ごしたことを知った。

今日は発行所は休みであったが、鍵を開けてカード発行にとりかかった。
彼は夕方までかかって、それは壮麗な、完璧な一枚を刷り上げた。

でもこの中に書く言葉が思い浮かばなかった。一体自分が、ツンに何を与えられるというのか。

ドクオの足は、自然と恩師の家へと向かっていた。

884:('A`)はカード発行人になったようです :2010/02/21(日) 07:47:12 発信元:220.98.213.242
(=゚Д゚)「なんだこんな夜更けに....今度はカード発行所もクビか?」

('A`)「いや、仕事のことで相談が....先生ならいい言葉を知ってると思って
   先生にはずいぶんと助けられたんで」

(=゚Д゚)「わしか?わしは気の利いた言葉など言わんぞ。ただ自分の役割を全うしようと
    していただけだ」

('A`)「役割.....」

(=゚Д゚)「お前にも役割があるはずだ。このシベリアで、お前の、な
    お前自身が立派である必要なんかない。人は誰でも、役割に応じて言えることがある。
    ここまで言えば充分だろう。さあ、帰った帰った」

シベリアタイガー先生は奥へと引っ込んだ。帰ろう、としたとき、「待て」と声がした。
先生は一冊の本を手渡した。それはシベリア民の詩集であった。

(=゚Д゚)「お前は語彙が貧弱だから、この本でも読め」

そういって本当に奥へと引っ込んだ。ドクオは思いだしたように、

('A`)「先生、今まで本当にありがとうございました」

そう大声でいって去っていった。

(=゚Д゚)「あいつ、とうとう自殺でもするつもりじゃあるまいな」

シベリアタイガー先生はその後ドクオの家に安否確認の電話を入れた。

885:('A`)はカード発行人になったようです :2010/02/21(日) 07:51:20 発信元:220.98.213.242
翌日は通常勤務であった。

「おはよう、ドクオ君」

何事もなかったかのように所長が挨拶してきた。この間のお礼をいった後、

('A`)「所長。今日お昼から外出していいですか。ツンを見送りたいんで....」

( ´W`)「おおそうか。それはいってらっしゃい」

('A`)「あの、所長も一緒に来てくれませんか」

所長の顔がキッと厳しくなった。しかしドクオは、これは仕事の一環なので、と言った。
所長は、ならばよろしい、といった。所長は駅で先に待つことになった。

886:('A`)はカード発行人になったようです :2010/02/21(日) 07:55:12 発信元:220.98.213.242
ドクオは、ツンが滞在しているホテルシベリアに迎えにいった。

道中、二人は空白の期間を埋め合わせるようにたくさんの話をした。
いや、話をした、というよりもドクオはたくさんの「ごめん」を連発した。
そんなことはもういいのよ、とツンがいっても、あれこれ思い出しては
さらに「ごめん」を重ねた。

小さな橋に差し掛かるころ、ドクオはこう言った。

('A`)「ツン、幸せになってくれよな」

ツンはこっくりとうなずいた。

887:('A`)はカード発行人になったようです :2010/02/21(日) 08:01:06 発信元:220.98.213.242
駅についたら、所長がかしこまった顔をして待っていた。ツンは、ニコニコしながら
所長の前にたった。ドクオも所長の横に並んだ。

所長はカードを両手でツンに手渡した。カードと行っても大判で、二つ折りになっている。

( ´W`)「本来であれば、これは観光初日に発行すべきところを、こちらの不手際により
     著しく遅延致しました事誠に遺憾であります。しかし同志ドクオ君の尽力により、
     この世に二つとないカードとなりました。これは列車が発進するまで中を見ないで
     いただきたい.....いいですかな?」


カード発行人たちは顔を見合わせた。そして
('A`)( ´W`)「シベリアにようこそ!同志よ!ハラショー!」

('A`)「ツン、ありがとう」

発行人たちは改札の奥の闇へ引き下がった。

やがてベルがなった。

889:('A`)はカード発行人になったようです :2010/02/21(日) 08:14:05 発信元:220.98.213.242
ツンは記念カードを開いた。

そこには、シベリア開拓の歴史がリトグラフで精緻に描かれていた。
そして真ん中には、在りし日の少女ツンがいた。

下の方のメッセージにはこう書いてある。
先生から借りた詩集の引用だ。
2chスレ
  
 不意に列車の連結部が音を出す
 ゆっくりと景色は移ろい
 やがて流線型に変わっていく
 君がいたところはやがて地平の一個の点になるだろう
 しかしいついかなるときでも

 シベリアは君を応援する

891:('A`)はカード発行人になったようです :2010/02/21(日) 08:17:22 発信元:220.98.213.242
ツンはふと窓の外をみた。収穫間近のライ麦畑が、風に揺れていた。

その後方、シベリア村はもうすでに小さな一個の点となっていた。


ツンは窓の上からその点に、いつまでもやさしくおでこをゆだねていた。
894:('A`)はカード発行人になったようです :2010/02/21(日) 08:23:40 発信元:220.98.213.242
   帰り道の二人には、雨が訪れた。しかし雨を待つまでもなく、ドクオの顔はぐちゃぐちゃに濡れていた
('A`)「畜生、もっと早ければなあ」

    所長は言う。
( ´W`)「君は本当の意味で、カード発行人になったようだな。心から歓迎出来る相手がいる、 
    それに代わる発行人の条件はない」

それでも雨はすぐ止んだ。ふうっと風が吹いてきた。
風に頬を撫でられながら、ドクオは変化に気づいた。

なぜだろう。

無性に誰か会いたくなった。無性に誰かと話したくなり、無性にどこかへ駆け出したくなった。
そして猛烈に腹が減り、ヲッカを喉が欲している。

こんな気持ちは、生まれて初めてだった。

ドクオは言った。

('A`)「所長。どっか、食べて帰りましょうよ。この前のお礼でご馳走しますよ。お互い薄給でたいへんでしょうから」


( ´W`)「こいつ、なまいきいいやが....オホン、うむ、よろしい」

所長も笑った。

(終)
スポンサーサイト
  1. 2010/02/21(日) 11:36:50|
  2. 総合作品まとめ
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:1
<<('A`)ミッションインポッシブルのようです | ホーム | ('A`)はカード発行人になったようです 1/2>>

コメント

ドックンドックン~!ふぅん!にゃーんにゃーん
アザラシ丼食べたい
  1. 2010/02/17(水) 15:40:26 |
  2. URL |
  3. 名のある名無し #-
  4. [ 編集 ]

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバック URL
http://potenta.blog13.fc2.com/tb.php/108-b8fcef0f
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。