ひとくちlw´‐ _‐ノvくりぃむ

ブーン系作品まとめブログ

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
  1. --/--/--(--) --:--:--|
  2. スポンサー広告

('A`)はカード発行人になったようです 1/2

480:('A`)はカード発行人になったようです :2010/02/15(月) 22:11:45 発信元:220.98.213.242

ーーーー('A`)はカード発行人になったようですーーーーー

ここはシベリアカード発行所。訪れた観光客にヲッカと記念カードを手渡して歓迎する村営の施設だ。

2chスレ

通常ここでは、現役を引退したような村の職員が応対するのだが、最近は若い人もいるとのことだった。

その若者の名はドクオ。若いのに雰囲気だけは年寄りくさい、との定評があった。


       ,,,,,,,,,,,,,,, ハッハッハ
       [,|,,★,,,|,]___
     ミ('A` 彡 / |     < よく来てくれた
  日⊂ へ  ∩)/ .|          歓迎する、ヲッカでも飲んでゆっくりしていってくれ
   i'''(_) i'''i ̄,,,,,,/ 
    ̄ (_)|| ̄.              

なんとなくぎこちなさは残るが、でもこれでもかなり慣れた方なのだ。

彼がカード発行人というある意味特殊な職業についたのにはいきさつがある。

482:('A`)はカード発行人になったようです :2010/02/15(月) 22:16:52 発信元:220.98.213.242
地元の学校を卒業した後、とくにつきたい職があるわけでもなく、また職を選べるほどの技能や頭脳があるわけでも
ないドクオは学校の斡旋どおり近くの炭鉱で職を得た。
2chスレ
|H             |
|ト/=(○)        ..|
|ト('A`) 乙 <ゼエゼエ
|⊂ ))_|乙乙  
|H( .ノ~~~~     |
|Hし〃        .|
|H          \_
|H          λ;;;;|\_
|H    ,.:-一;:、  /`'ソ\\\\\\'   |
|H    ミ;;: =(○) /ρノノ  |   ザックザク
|H  c (;`・ω・)/ ミ    |
|H  ι / ⌒っ/   __∧_/  ザックザク
|H   (  )'、)   /;;;乙
\  (( し'  J )) /乙;;乙;

だが炭鉱で彼を待っていたのは想像を絶する重労働であった。1露里ほど歩いただけでもゼイゼイ言うドクオの
体力では到底勤まるものではなかった。勤務三日目の昼、みんなに先駆けて早弁をしているところを親方に
みつかり、ヘルメットの上からつるはしの柄でガツンと殴られてのびてしまった。

4日目に彼は辞表を提出した。

486:いやあ名無しってほんとにいいもんですね :2010/02/15(月) 22:23:20 発信元:220.98.213.242
もう自分のような者には重労働の底辺職しかない。それは向いていない。だが、技能も体力もない。
こうなったら、ひとつコネで楽な仕事に付くよりほかはない。

彼は恩師であるシベリアタイガー先生のところに相談に行った。

2chスレ


('A`) 「先生、一つ俺みたいなへたれでもできる仕事はないですかね」

(=゚Д゚)「まったくお前というやつは........人間向き不向きがあるというが、お前は生きることそのものが
     向いていないんじゃないか?」

('A`) 「そんな元も子もないことを」

(=゚Д゚)「だいたいな、貴様はいつも授業中でも上の空で、そのくせバカなことばっかりワシにききおって。
    そのつけがいまきたんだ。貴様のような奴にできる仕事はない」

489:('A`)はカード発行人になったようです :2010/02/15(月) 22:32:12 発信元:220.98.213.242
('A`)  「そんな.....................」。

(=゚Д゚)「いいから帰れ。いつまでも人を当てにしてはいかん」

    彼は泣きそうになってまんじりともしなかったが、このままだとらちが開かない。

('A`)  「わかりました..................」 と言ってのろのろと立ちあがり、脇に置いてあった紙包みに手を伸ばした。
    
(=゚Д゚)「ちょっとまて。なんだそれは」
 
('A`) 「アザラシの燻製です...........二人で食べようと思って」

    先生はそれをまんじりと見つめた。柱時計が8時を打った。やがて、
    「皿をもってくる」

    先生は皿をもってくると言ったが、やたらと時間がかかった。先生はどこかへ電話をしているらしかった。

492:('A`)はカード発行人になったようです :2010/02/15(月) 22:39:51 発信元:220.98.213.242
    やがて先生は大きな皿とヲッカ、グラスを2つ手にしてやってきた

(=゚Д゚)「せっかく持ってきたのに、先にそれを言え。まったく...............」

 ドクオは再びソファに腰を下ろした。肉を並べながら先生は言う。

(=゚Д゚)「役場の人間に用があって聞いたんだが、カード発行所の空きがあるそうだ。本来ならお前のような若いのは
    とらんらしいが、ワシの口利きでなんとかなるそうだ。あくまで、ついでに聞いたまでだぞ、ついでに」

('A`) 「ありがとうございます。やっぱ袖の下ってのは有効ですね」

(=゚Д゚)「ん?何か言ったか?」

('A`) 「いやこっちの話。先生、ヲッカつぎましょうか」

ここまでがドクオがカード発行所に努めることになったいきさつである。

496:('A`)はカード発行人になったようです :2010/02/15(月) 22:45:26 発信元:220.98.213.242
 たしかに、炭鉱の仕事に比べればはるかに楽ではあった。一日中座って、カードを発行し、ヲッカを振る舞い、暇な
時には自らもヲッカを飲み、定時に(或いはもっと早く)帰ることができた。

 ただ月給は定年後の年寄りが年金の足しにするぐらいの額なので安かったが、それでも親元にいるドクオには十分であった。

 今日もまた夕暮れが近づく。そろそろ閉めよう......と思ったその時、誰かが発行所に入ってきた。

 「私にもカード発行してくれる?」

 若い女の声でそう言われた。聞き覚えのある声だった。

 ('A`)(ツ............ツン!?)

それは久しくシベリアを離れていた、ツンの声であった。

540:('A`)はカード発行人になったようです :2010/02/16(火) 21:57:00 発信元:220.98.213.242
そこにいたのは確かに、ツンだった。かつての少女の面影は残っていたが、若草色のワンピースを着て
うっすらと化粧をしている姿は品のいい町娘、といった風になっていた。

ξ゚⊿゚)ξ「私にも発行してくれる?」

ドクオと向かい合わせの椅子にすとんと腰を下ろした。

ツンはドクオに気づかなかった。今の彼は髭と鬢の毛を深々と伸ばしていたし、うつむきがちでいたからである。
もちろんドクオの方は気づいていて、そしてなぜか気まずい思いをしていた。

ξ゚⊿゚)ξ「私ね、前にこの街にいたこともあるのよ」

('A`)   「そうですか」

ξ゚⊿゚)ξ「寒かった。ヲッカくださる?」
(
('A`)   「あ、それ」

ξ゚⊿゚)ξ「自分でついで飲めっていうの?」

そう言いはしなかったが、そう言う目つきでドクオを一瞥して、グラスにヲッカを注いだ。
グラスに口をつけて飲んだ刹那、彼女は目をしばたかせてドクオを見た。

543:('A`)はカード発行人になったようです :2010/02/16(火) 22:04:49 発信元:220.98.213.242
ξ゚⊿゚)ξ「何髭なんか伸ばしちゃって.......似合わないの」

('A`) 「バレたか」

ξ゚⊿゚)ξ「へぇあんたがカード発行人ねえ ってアンタ炭鉱はどうしたのよ」

ツンは微笑んだ。ドクオもつられてうつむいたまま苦虫を噛み潰したように笑った。

('A`)  「ええっ、あの、それはそうとお久しぶり」

ξ゚⊿゚)ξ「まあいいわ、どうせあんたのとこよるつもりだったの。手間が省けてラッキーだわ」

( ´W`) 「ややや、若い娘の声がすると思ったら........ようこそ」

奥から出てきたのはカード発行所の所長だ。所長といっても、ここには所長とドクオの2人しかいないのだが。
所長は中背中肉の中年で、ハゲがかっているがりっぱな口髭を蓄えた人だった。

544:いやあ名無しってほんとにいいもんですね :2010/02/16(火) 22:10:31 発信元:220.98.213.242
ξ゚⊿゚)ξ「いつもドクオがお世話になってます」

( ´W`) 「おや?ドクオ君のお知り合いですかな?これは隅におけませんなあ」

ξ゚⊿゚)ξ「そんなんじゃないんです。古い友達で、私は元々この街にいたんです」

( ´W`) 「まま、立ち話も何ですので。どうです、これから食事でもご一緒に?なあドクオ君」

やってきたのはシベリア随一の老舗、シベリア飯店である。老舗とは言うものの、庶民的な店だ。

シベリア飯店
2chスレ


 地方の食堂などどうやって営業しているのだろうと不思議になることがあるが、この老舗もまさに
その類であった。

 がらんとしたフロアには、ドクオと所長とツンの三人だけ。奥の中華風丸テーブルに座っている。
ツンと所長は歓談していたが、ドクオは完全に蚊屋の外であった。

545:いやあ名無しってほんとにいいもんですね :2010/02/16(火) 22:19:57 発信元:220.98.213.242
 所長は天候と自分の妻の話をしていた。これは彼が見知らぬ人に必ず最初にする話題である。
最初から相手の領域に立ち入らないことは彼なりの礼儀であり優しさであった。

 話は最近のドクオの勤務ぶりに移った。決して評価は低くなかったが、自分の名前が出る度に
顔から火がでるような気恥ずかしさを覚えた。

 ドクオは気まずさを持て余すように回転テーブルをぐるぐる指で回していた

ξ゚⊿゚)ξ「こら、行儀の悪いことするんじゃないわよ!」

('A`)   「いてえ、手をはたかなくったっていいじゃないか」

( ´W`)  「はっはっは、まるで犬をしつけとるみたいですな。犬といえばそうそう」

所長の言葉を遮るようにウェイトレスが料理を運んできた。

549:('A`)はカード発行人になったようです :2010/02/16(火) 22:25:45 発信元:220.98.213.242
| l| ゚ー゚ノl「おまたせしました。アザラシ丼三つ、同志スターリン風サラダです」


( ´W`)  「おお、きたきた。これがうまいのです」

ドクオもツンもこの店に来たことは数回しかなかった。地元の人間ほど名所とは行かないものである。

ξ゚⊿゚)ξ「ん、おいしい!アザラシ丼て、こんなおいしかったっけ」

 店によって流儀はいろいろとあるが、ここのはアザラシの肉をさっと直火で焼いて甘辛いタレにからめたものを
炊きたてのご飯の上に載せるものである。通に言わせると、これがアザラシの一番うまい食べ方だそうだ。

550:('A`)はカード発行人になったようです :2010/02/16(火) 22:30:35 発信元:220.98.213.242
('A`)   「ん、うまい。腹減ってるときは何食ってもうまい」

ξ゚⊿゚)ξ「あんたってばどうしてそう無粋なことしか言えないわけ?
     ところで、この同志スターリン風サラダっていうのはどうやってたべるんですか」

 グリーンサラダの上に肉がさいのめに散らばっている。
 所長は真っ赤なドレッシングをぐるりと回しがけして、おもむろにそれを攪拌しだした。
なおも攪拌しつづけながら、

( ´W`) 「どうです?かのスターリンの血みどろの粛清を思い浮かべるでしょう?」
      ドヤ顔である。

ξ゚⊿゚)ξ 「趣味の悪い冗談だわ」

( ´W`)   「粛清の流刑地、シベリアならではといえますな」

味は悪くなかった。

553:('A`)はカード発行人になったようです :2010/02/16(火) 22:36:55 発信元:220.98.213.242
 腹ごなしも済んだところで、所長が口を開いた。

( ´W`) 「さっきから見てると、年の離れた姉と弟のような感じをうけますな、ドクオ君とツンさんは。
     幼なじみなのですかな?」

('A`)  「いや、俺が11ぐらいのときにシベリアに引っ越してきて、お隣がツンだったんです」

ξ゚⊿゚)ξ「11ぐらい?記憶が曖昧............」

 だがドクオはツンとの出会いをよく覚えていた。11ぐらいと言ったのは照れ隠しで、11歳の12月4日という
具体的日付まで覚えていた。

555:('A`)はカード発行人になったようです :2010/02/16(火) 22:46:42 発信元:220.98.213.242
 雪のふる日、その日はシベリア村の小学校に初めて登校する日だった。

 だけどドクオは行かないつもりだった。面倒くさかったのである。前の地域への愛着も強かった。
 もともと体があまり強くないドクオは寒いのは大の苦手でもあり、生来の内向的気質も出不精に輪をかけた。

 母親と父親は両親揃って朝早く働きに出るので、サボろうと思えば一日中サボれる。今日は雪ではないか。
 外出るのマンドクセ。あー眠い。

 夢の国の住人になろうとしていた彼に、甲高い声が刺さるように飛んできた。

 「こらー!新入りの癖に!あんた遅刻するわよ!」

 ドクオは寝耳に水だったが、いまいち何が起きてるか把握できなかった。
 ただ、甲高い人間離れした声の主が家の外にいることだけはわかった。

711:('A`)はカード発行人になったようです :2010/02/18(木) 17:52:41 発信元:220.98.213.242
窓から顔をだす。
雪の降りしきる公営住宅の玄関、
ツインテールの髪型にロシア帽を被って立っているのは隣の家の少女だ。
それがツンであった。
    i   。 /   o      o ,'"      ̄   ̄   ̄o    `、 iエエエi
o   |   /゚  ,i'⌒ヽ、  ゚   ,' ,ヘ、。 ◯   o  ,へ、 o   `く`ユュ/   z
゙、\_ノ  i o (    )      ,' メ ヘ     。   / oへ、    o`、_メ  z
 ` 、゙   ノ /`;;;;;_ノ      ,' メ /::`、 o    / /_____\    `、  z
   \  i,//´   *   ,' メ /二:`、     i  | |ロ|ロ| | 。    `、
   i  ◯/    。    ,' メ /|iロiロ|`、  。  i.__|_|ロ|ロ|_|    。
  /   / 。          ,' メ /..|iロiロ|..`、   O    ̄ ̄ ̄ o    `、
 ./   /    ○     i_/__/::::ニニ:::::`、_____________`
:::/ο i           | || \" ゙゙̄\゚ | |゚ ゚ ゚ ゚ ゚ °°゚ ゚ ゚ °|
...i   |    O        |O  |o @::| 。0ニニ二ニ|ミ田田彡|ニニ二ニ|
ノ、.......,iー. ___..      |..||  |$::::::::| | |二ニニ二ニニニ二ニニニ|
     ,._,,,.,.,._。'''''^"´,。=ー'^"´ ̄ ̄ ̄o ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄



ξ゚⊿゚)ξ 「さっさと着替えて!学校にいくから!」

はとが豆鉄砲くらったような顔したドクオは、急いで着替えて玄関へ降りる。
少女は足早に歩き出した。

712:('A`)はカード発行人になったようです :2010/02/18(木) 17:54:36 発信元:220.98.213.242
学校につくと、やはり相当の緊張が走った。
登校中の生徒達を書き分け、ツンはずんずん進んでいく。
ドクオは小さくなってついていく。

彼には、「新入りだ」という声なき声が聞こえてくる。

視線が刺さる。

上級生はともかく、下級生からもそう言う目で見られるのが嫌だった。

教室に入ると、既に席は用意されていた。

席についた彼はうつむいたまま一言も喋らなかった。

周囲もまた、彼に話しかけなかった。

やがて担任が入ってきた。それがシベリアタイガー先生であった。先生は出欠をとり始めた。
とくにドクオを特別扱いすることなく、普通にドクオにも出欠の返事を求めた。
朝礼が終わった後、シベリアタイガー先生はおもむろにこう言った。

715:いやあ名無しってほんとにいいもんですね :2010/02/18(木) 18:11:33 発信元:220.98.213.242
(=゚Д゚)「新入りが入ってきたときの三原則、覚えているな?
    無理に仲良くしろなどとは言わん。

    ただ、暴力は振るうな。陰口は叩くな。困った時には助けてやれ。
    そうしない奴は、反革命的だ。以上」

インターナショナルの歌を歌って、朝礼は終わった。


ξ゚⊿゚)ξ「先生に感謝しなさい。先生が、アンタのうちに行って案内してやれって言ったのよ」

ξ゚⊿゚)ξ「それはそうと、あんたドクオっていうのね」
ツンは始めて微笑んだ。

これが出会いである。


そしてそれ以来ツンとシベリアタイガー先生には頭が上がらないのであった。

(先生はもともと、小学校の教員ではなかった。野生動物の研究者であったが、
 人手不足により要請があって小学校の担任をしているのだった。)

シベリアで始めて出会ったのがこの2人で本当によかったとドクオは常々思うのだった。

717:('A`)はカード発行人になったようです :2010/02/18(木) 18:18:54 発信元:220.98.213.242
それ以来ツンとシベリアタイガー先生には頭が上がらないのであった。

ドクオがしんみりと記憶に浸っていたら、またもや蚊屋の外となっていた。

( ´W`)  「ほお、では今はヴィップグラードに。いやはや、結構な都会ですなあ、そこで何を?」

仕事の話に移っているらしかった。

ξ゚⊿゚)ξ「建築事務所の秘書を」




('A`)  「えっ」


ドクオは耳を疑った。

779:('A`)はカード発行人になったようです :2010/02/20(土) 18:28:32 発信元:220.98.213.242
ピアニストになっているはずではなかったのか。

ツンは4年前、ピアニストになるために地元を離れてヴィップグラードの音楽院に奨学金を得て進学したのだった。
ピアニストになっていなくても、何らかの形で音楽に関わる仕事をしている、そう思っていた。


( ´W`) 「ほう、建築士の先生はお若くて、あなたより5つ年上、優秀な方なんですなあ。
      今度は国家事業のダムの設計を、そりゃあ大変だ。あなたもいろいろ忙しくおなりでしょうね」

ξ゚⊿゚)ξ「そうなんです。これからものすごく忙しくなるから、その前に休暇を申請して.....」

ツンはドクオを見た。

ドクオはまだ悶々としていた。気づくと左のすねが痛い。ツンがつねっていた。
かなり遅れて

('A`) 「いってえ」

と言った。

781:('A`)はカード発行人になったようです :2010/02/20(土) 18:32:27 発信元:220.98.213.242
シベリア飯店を出たら、もう夕闇となっていた。初秋とは言え、外套なしでは辛いシベリアである。

一行は桜並木に出た。もちろん枯れかかった葉桜であった。

2chスレ


( ´W`) 「この道をずっと行けば、あなたがお泊まりのホテルに到着します。
      歩いて行っても1時間ぐらいだ。ドクオ君、送って行ってあげなさい
      じゃ、私はこれで」

ξ゚⊿゚)ξ「ごちそうさまでした」
('A`)   「どうもすいません」

     お礼を言って別れると、所長はどこかへ消えた。


     2人は歩きだした。先に口を開いたのは、ツンであった。

ξ゚⊿゚)ξ「いい所長さんね」

('A`)   「うん」






782:('A`)はカード発行人になったようです :2010/02/20(土) 18:34:52 発信元:220.98.213.242
ξ゚⊿゚)ξ「シベリアも変わっちゃったね。まあ私がいた頃からすでに雰囲気が変わってたけど....
家族のお墓に行ってみたんだ。
      近くにコンビニとかあって、お父さんや弟もおちおち眠れないんじゃないかって思った」

('A`)   「うちの近所もさ、移民だらけだよ。まあ俺も移民の子なんだけどさ」

ξ゚⊿゚)ξ「シベリアなんか、皆そんなもんよ」

でもツンとは違う、とドクオは思っていた。

ツンの両親はシベリア開拓史に出てくるような、模範的な開拓民であった。
父は長らくシベリア郵便局に努め、地元の人からの信頼も厚かった。

しかし、父親と弟はブリザードで死に、奨学金を得たらツンはすぐにヴィップグラードに
母親と引っ越した。


一方ドクオの両親は、好きでシベリアに来たわけではなかった。
前住んでいた地域を追われるようにしてシベリアに来た。
父親は「仕事のためだ」と答えた。それが嘘だと、鈍感なドクオでもわかった。

シベリアではそういう事情が多いのをシベリアタイガー先生はよく知っていた。
先生の突き放したような厳しさは、誠実さから出たものだった。

784:('A`)はカード発行人になったようです :2010/02/20(土) 18:38:41 発信元:220.98.213.242
月がこうこうと光を放ち始めた。

('A`)    「あのさあ、あの....ピアノはもうひいていないの?」

ξ゚⊿゚)ξ「うん。やめちゃった」

('A`)    「そっか」
      その後の言葉が続かなかった。

ξ゚⊿゚)ξ「お母さんが病気になって、学校に通えなくなったの。そう言う理由で退学した。

      でも多分ほんとの理由は、情熱が枯れちゃったからだと思う。
      早くこのシベリアを抜け出したい、そういう一心でずっとピアノを練習してた。
      お父さんと弟を殺した、この忌々しいブリザードが吹くシベリア。退屈で、何も起こらない街をね。

      でも望んでたものが手に入ると、気持ちが萎えてしまったの」


ξ゚⊿゚)ξ「わたし、ドクオみたいに強かったら、と思うの。
      過疎とか、変化とか、そういうこと受け入れて、ずっと一つのところで頑張る....そんな風になれたらって。
      お父さんやお母さんみたいな開拓民にはなれない。そう言う気持ちがいつもどこかにあった。

      あんたは、私なんかよりずっとシベリアンだわ」

787:('A`)はカード発行人になったようです :2010/02/20(土) 18:42:20 発信元:220.98.213.242
('A`)   「何言ってんだよ.....俺なんか、ずっとヘタレで、どうしようもなくて、でも運がよかったから....」

      違う違う。運がいいんじゃない。先生が、そしてツンがいたからここまでやってこれたんだ。
      感謝を伝えたいのに、口をついて出てくるのは曖昧で、意味のないことばかり。
      俺はなんてグズでどうしようもないやつだ。

      馬鹿。ドジ。グズ。死ね。
      尽くせる限りの罵詈雑言を、ドクオは心の中で自分に対して吐いていた。

      いかんいかん。俺がツンを励まさなくちゃいけないのに、やっぱり俺死ね。

('A`)   「でもさ、今は立派に働いて.....」

ξ゚⊿゚)ξ「それこそ運がよかったのよ。学校を止めて、途方にくれてたら、
      たまたま人づてに秘書の仕事が舞い込んだ。出られる日でいいから出てくれって。
      なりゆきなのよ」

789:('A`)はカード発行人になったようです :2010/02/20(土) 18:44:52 発信元:220.98.213.242
      ツンは、今の仕事について少し話をした。ヴィクトルという名の設計士であること、ヴィップグラードでも
      相当優秀な人材として中央から一目置かれていること、エリートであるにも関わらず優しくて親切であること....

ξ゚⊿゚)ξ「さっき所長さんにも話したように、今度彼は大きなプロジェクトをまかされるの。多分数年がかりになると思う。
      それで一緒に、モスクワに来てくれないかって」





ξ゚⊿゚)ξ「結婚してくれ、と言われたの」


('A`)


     彼の意識はそこから希薄になった。




次へ
スポンサーサイト
  1. 2010/02/21(日) 11:34:28|
  2. 総合作品まとめ
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:2
<<('A`)はカード発行人になったようです 2/2 | ホーム | ( ^ω^)は遺言を受け取ったようです>>

コメント

うーん……
  1. 2010/02/17(水) 18:40:39 |
  2. URL |
  3. 名のある名無し #-
  4. [ 編集 ]

ドックンドックン~!ふぅん!にゃーんにゃーん
ふむ…
  1. 2010/02/17(水) 15:38:29 |
  2. URL |
  3. 名のある名無し #-
  4. [ 編集 ]

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバック URL
http://potenta.blog13.fc2.com/tb.php/105-af14f3dd
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。