(´・ω・`)帰れないようです

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3 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/20(月) 20:29:26.37 ID:02O/i6raQ
(´・ω・`)帰れないようです

1番線に電車が参ります、黄色の線の…

いつものアナウンスが耳に入って来たので、立ち上がり待ち合い室を後にする。

やはりこの時期でも夜は肌寒い。
世間ではクールビズだなんだと言うが、残業だらけの万年係長の自分は帰るのも遅い、だから昼間暑くても終電の時間帯の寒さを考えるとスーツ位でちょうどよい。



4 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/20(月) 20:30:17.69 ID:02O/i6raQ
そんな事を考えていると電車が停車し扉が開いた。

僕は開いた扉から電車に乗り込み、車内を見渡す。
乗客はほとんどおらず。

寝ている人が目立つ。

袖をめくり、時間を見る、デジタルの時計が01時20分を表示していた。

それだけ確認すると僕も少し眠ろうと瞼を閉じ、浅く息をして、この電車が終電ですと言うアナウンスを聞きながら眠りについた。



5 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/20(月) 20:31:18.06 ID:02O/i6raQ
――――僕はひたすら歩いていた。

少し離れたとこに二つのトンネルに延びる線路を僕は歩いていた。
線路は使われてないのだろうか
線路は錆び付き、枕木は割れ、草は自分の膝を越えている。

僕は何かに怯え、後ろを振り向いている、さらに怯え、走り出した。

トンネルの目の前にきた。

二つのトンネルには僕を飲み込むかのような暗闇が覗き、引き込まれるような闇が続いている。



6 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/20(月) 20:32:09.23 ID:02O/i6raQ
僕は躊躇うそぶりを見せ、もう一度振り返り、左のトンネルに足を踏み入れた。

―――――僕はハッと目を開けた。
僕は相変わらず車内で揺られていた。


腕時計を確認する、なんの文字も表示されてない。

故障かと思い、胸ポケットの携帯を確認する。

02時10分



7 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/20(月) 20:33:12.57 ID:02O/i6raQ
しまった!寝過ごした。
いつもは2時に着くから今はすぐ近くだと確認し、
電車が駅に停車するのを待つ。
すでに先程の夢の内容など忘れていた。
5分程経ち、速度が落ち、やがて停車した。

駅名をみると〔きさらぎ〕
聞いた事ない名前だ



8 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/20(月) 20:34:12.85 ID:02O/i6raQ
僕は電車から降りて、妻に連絡しようと携帯を手にとり、携帯を開け、明るいディスプレイをみて、ボタンを操作し、着信履歴から電話をかけ、携帯を耳に当てる。

発信音が一度もなることなく、電話は切れてしまった。

僕はあまり機械に詳しい方ではないのでどうゆう原因なのかはよくわからない。
もう一度先程と同じ操作をして電話をかける

やはり繋がらない。
故障だろうか
僕は携帯をしまい、改札を抜け、家の方向に向け線路沿いの道を歩いた。



9 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/20(月) 20:34:50.10 ID:02O/i6raQ
しばらく歩くとここには何もないことに気がついた。
コンビニも民家もないのだ。
何故か街灯だけが申し訳程度に等間隔で並んでいる。
僕は気味が悪くなりもう一度携帯を操作し妻に電話をかけようとディスプレイを見ると圏外だった。

僕は諦め、また直ぐに歩きだし。


10 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/20(月) 20:35:39.82 ID:02O/i6raQ
僕はしばらく歩いた所の踏み切りから線路に足を踏み入れ、線路を歩く事にした。

この気味の悪さにも慣れ、僕は初めて来た場所で童心に帰ったかのような高揚感を感じ、僕は昔のように鼻歌交じりに足取り軽く探険するように線路を歩く。
しかし10分程歩いたにも関わず、人どころか民家も無く、高揚していた気分はどこに行ったのか段々気味の悪さが舞い戻って来た。



11 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/20(月) 20:36:21.82 ID:02O/i6raQ
ただでさえ歩きにくい線路は日頃の運動不足もあり僕の体力を奪っていった。

気付けばシャツはじんわりと濡れており。

僕は早く家に帰りたくて、さらに足を早めた。

すぐ近くに踏み切りが見えた。
僕は道に出て歩く事に決め、踏み切りから道に出て直ぐを左に曲がり、それなりに舗装された道を我が家の方に向け歩いていく。



12 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/20(月) 20:37:43.15 ID:02O/i6raQ
その時視界の端を何かが動いたような気がして、僕は慌てて横を向いた。

そこには先程駅から見たのと同じような街灯がぽつんと寂しげに電気を道に燈していた

僕は安堵し再び前を向く。

14 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/20(月) 20:40:50.23 ID:02O/i6raQ
そこにはいつのまにか一人の人影が立っていた、僕は道を聞こうと嬉々として人影に駆け寄ろうとした。

何かその人影はおかしいのだ。
よくわからないが何かおかしい
僕は躊躇いどうするべきか立ち止まり考えた。




15 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/20(月) 20:41:45.71 ID:02O/i6raQ
すると人影はこちらに足を延ばして来た。

僕は人影を凝視していた、人影が五歩程歩いて、僕との距離が少し縮まった。

僕はぎょっとし直ぐさま反転し来た道を全速力で引き返した。

僕は走りながら後ろを振り距離を確認する。

距離は20m程。
僕はさらに速度をあげた。

先程の踏み切りを見つけ、僕は迷わず踏み切りから線路に進入し、躓きながらも無茶苦茶なフォームで走った。




16 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/20(月) 20:42:10.35 ID:02O/i6raQ
300m程走り、息も絶え絶えになりながら後を振り向くさっきより近くなっている。

僕は先程見た顔を思い出し恐怖を感じ、限界近くまで来ている足をさらに早めた。

しばらく走ると目の前にトンネルが二つ見えた。

僕はトンネルの手前で後を振り向く。
奴はいない



17 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/20(月) 20:42:39.92 ID:02O/i6raQ
少し速度を落とし、僕はトンネルの前に来たとき既視感に襲われた

ここはいつか…来た気がする…

そんな事を考えていると後で小石が転がった音が聞こえた。
僕は驚き後を振り向くと僕のすぐ近くに奴がいた。

顔に真っ黒の穴をぽっかり開けた奴が。
手を伸ばせば届く程の距離にいた。




18 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/20(月) 20:43:17.70 ID:02O/i6raQ
僕は心底情けない声を出し手を出鱈目に振り乱しながら右のトンネルに入った。

トンネルの中は暗く自分の指先すら見えない。
それでも僕は情けなく走った。

涙を流し、情けない声を上げながら振り向かず走った。
振り向けば奴がいる気がした。
すぐ耳元で奴が呟いているような気がする。
何度もこけそうになりながらも走った。


19 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/20(月) 20:44:10.41 ID:02O/i6raQ
そして僕は走りながら携帯を取り出し、地面を照らしながら恐怖から逃れるように走った。

心臓が張り裂けそうになりながらも走った。

やっと出口が見え、光りが見えた、僕は少し安堵しながらも速度を緩めず走り続けた。

トンネルを抜けて後を振り返ると六人程の顔に穴の開いた奴らがいた。




20 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/20(月) 20:45:07.00 ID:02O/i6raQ
奴らはトンネルの出口で止まっていた。
トンネルからは出れないのか?
僕は後を振り向きながらも速度を緩めず走った。
奴らがいつ出てくるかわからなかったからだ。

僕の視界から奴らが消えるまで何度も振り向いきながら走る事を繰り返した。

やがて奴らは視界から消え、僕はその場に座りこんだ

助かった…
ひたすら嬉しくて涙すら溢れ、年甲斐もなくガッツポーズまでしてしまった。




21 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/20(月) 20:45:29.13 ID:02O/i6raQ
ひとしきり喜んだ後恥ずかしくなり、また歩き出した。

歩きながらも何度も振り返った、しばらく歩き交番が見えたので交番で現在地をしるために場所を聞く事にした。

交番で事情を説明した。

電車で寝過ごした事。
ここまで歩いた事。

奴の事は言えなかった。



22 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/20(月) 20:45:59.04 ID:02O/i6raQ
ニヤニヤした警察官は今の場所を教えてくれた。

今の場所は家から近く車で10分程の距離だった。

笑顔に腹が立ち、僕は礼をいい、交番を出ようとした。

警察官はにやけ面で引き止めたが僕は家が近いからと丁重に断り、もう一度礼をいい交番を後にした。




23 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/20(月) 20:46:48.71 ID:02O/i6raQ
そして僕は妻に電話をして事情を説明し、迎えを頼んだ。
僕は妻を待ちながら、奴の事を考えていた。

奴はなんなのか?もう諦めたのか?
考えながらも歩いて来た方を凝視する。

いつ現れるかわからない恐怖と戦いながら、妻を待った。

やがて凝視した方に光りがさしたので振り返ると妻が車で迎えに来てくれた。

妻に謝り、車に乗り込んだ。



24 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/20(月) 20:48:12.77 ID:02O/i6raQ
助かった
僕は安心して運転席の妻を見る。

とてもニコニコしている。
文句を言われずにすみそうだった。

もう一度感謝を伝え、車が動き出したので前を向いた。

妻に先程起こった出来事を話していた。

寝過ごした駅の事、穴のある奴の事。

包み隠す事なく話した。



25 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/20(月) 20:48:34.81 ID:02O/i6raQ
話終えた後僕は怖かったよと付け加え妻に顔向けた。

妻は穴の開いた顔でこちらを見ていた。

終わり


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