306:二人は戦い続けるようです :2012/12/11(火) 00:33:07.12 ID:P0MBgNHd0
――時は西暦20XX年。
世界は2つの思想に引き裂かれていた。
それはさながら、プロテスタントとカトリック、黒と白、きのこの山とたけのこの里のように――。
とある廃墟の一室。
錆び付いた扉に寄りかかった男は、あらぬ方向に向いてしまっている右手首をかばいながら、肩で息をしていた。
(; _ゝ )「はぁ、はぁっ、はぁ……」
男の足元には、半透明の弾倉が特徴的なアサルトライフル、H&K MG36が落ちていた。
その弾倉には、弾は残っていなかった。
(;´_ゝ`)(ちくしょう、)
手首の痛みと、 絶望的な状況をひっくり返すことのできないやるせなさが入り交じり、歯を食いしばる力が強くなった。
もうじき、対立している組織の女に殺されるだろう、と男は感じていた。
右手を折られてしまった時点で、負けは決まっていたのだ。
片手がなければ、弾倉を取り替えることもままならないのだから。
313:二人は戦い続けるようです :2012/12/11(火) 00:36:42.58 ID:P0MBgNHd0
(;´_ゝ`)(我ながら、馬鹿な人生だった)
そもそも、男が所属していた組織は緩やかに、しかし確実に衰退をしていた。
最初は、五分五分であったはずの勢力は、いつの間にか押されてしまったのだ。
(#´_ゝ`)(売国奴のビッチどもめ)
たくさんの裏切り者を脳裏に描いていた男は、足音を耳にした。
コツ、コツ、コツ、
それは、微々たるもので、しかし着実にこちらに近付いてきていた。
( ´_ゝ`)「はは、」
乾いた笑いが思わずこぼれる。
そして、男のいる部屋の前で、足音が止まった。
「そこにいるのは、分かっているわ」
と、年端のいかない女の声で、こちらに呼び掛けられた。
「私たちに忠誠を誓うなら、命は許してあげる」
その言葉に、男はせせら笑った。
319:二人は戦い続けるようです :2012/12/11(火) 00:42:48.44 ID:hxf1TGg70
( ´_ゝ`)「できるわきゃねーだろ、俺はアレに魂を奪われちまったんだ」
お前らだって、そうだろう?
そんな意味をこめて、男は答えた。
「……残念ね、わたしはあなたを気に入っていたのだけど」
かちり、とドアノブが揺れる音がした。
その時だった。
「ぅああ″!?」
突然の銃声。
連続。
けたたましい金属音。
扉に背を預けていた男は、慌ててそこから離れた。
(;´_ゝ`)「?」
音は、止んだ。
しかし、再び靴音が男の鼓膜を揺らした。
扉が、開く。
323:二人は戦い続けるようです :2012/12/11(火) 00:45:31.79 ID:hxf1TGg70
濃紺と白のコントラスト。
膝丈のスカート。
胸元を飾る、赤いスカーフ。
瓜二つの、顔。
(´<_` )「生きていたか」
三脚なしでは安定もままならないKord重機関銃を、片手で扱う化け物が、希望が、そこにいた。
( ´_ゝ`)「……、」
くしゅん、と、男のくしゃみが空間に響いた。
緊張がとけたのだろう、と男は考えた。
( ´_ゝ`)「手首折れた」
男は、化け物に笑いかけながらそう言った。
(´<_` )「そうか、なら早めに帰らなくてはな」
化け物は男の左手を掴み、立ち上がらせ、その手にH&K MG36を握らせた。
327:二人は戦い続けるようです :2012/12/11(火) 00:47:53.16 ID:hxf1TGg70
(´<_` )「帰ろう、兄者」
( ´_ゝ`)「そうだな、弟者」
ζ( ー *ζ
ブレザーを着た、茶髪の女の死体を跨ぎながら、化け物は言う。
(´<_` )「無事でよかったよ」
( ´_ゝ`)「ただでは死なんよ」
この世に溢れるブレザーギャルを駆逐し、セーラー服の清楚な乙女が闊歩する世界を見るまではな、と男は付け加えて。
(´<_` )「流石だな、兄者」
( ´_ゝ`)「そうだろうとも」
爽やかな笑みを浮かべ、スカートを翻しながら、男は言った。
――男たちの、飽くなき挑戦は、未だ続く。
お題「希望」「セーラー服と機関銃」「くしゃみ」「( ´_ゝ`)「手首折れた」」
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- 2012/12/13(木) 19:15:28|
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