ひとくちlw´‐ _‐ノvくりぃむ

ブーン系作品まとめブログ

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夏の終わりのようです

500:夏の終わりのようです :2010/08/25(水) 03:30:18.46 ID:o5qMkOf20

世界が終わる。
それは静かに、ゆるやかにやってきた。


「この夏が終わるころ、人類は滅亡します」


不思議とその言葉はすとんと心の中に落ちた。
誰も恐怖しなかった。本当は怖かったのかもしれないが、誰も口にはしなかった。

表面上はいつも通りの日常が繰りかえされる。
社会人は仕事に行き、学生は夏休みの宿題やらに追われる。
ゆるやかな終わりに、混乱は似合わないとでもいいたげな雰囲気だった。


|゚ノ^∀^)「暑いわねー」


彼女はまだ夏休みだった。
世界の終わりに向けてゆっくり歩いている。

いつも通りの日常に追われるのは嫌だった。
もっと別のことを、変わったことをしたかった。


501:夏の終わりのようです :2010/08/25(水) 03:33:26.41 ID:o5qMkOf20

別のことをしたいと思いながらも、彼女はいつもと同じ道を歩く。


( ´_ゝ`)

(´<_` )


いつもの場所から窓を見ると、顔見知り程度の二人が見える。
彼らは双子の兄弟だ。

どうやらパソコンと向きあっているようだ。


|゚ノ^∀^)「いつもと変わらないわねぇ」


汗を拭いながら呟く。
学校にいるときも、ノートパソコンを片手にしていた彼らだ。
何ていつも通りの日常を過ごしているのだろうか。

彼女は再び歩く。



結局、その日は何も見つけられなかった。


502:夏の終わりのようです :2010/08/25(水) 03:36:30.51 ID:o5qMkOf20

変わったことをしたいと思いながらも、彼女はいつもと同じ道を歩く。


ξ゚⊿゚)ξ

( ^ω^)


いつものように仲睦まじく歩く二人を見かけた。
彼らはいわゆる恋人同士で、この夏も毎日ああして散歩をしている。

手に持っているのはデジカメだ。


|゚ノ^∀^)「本当、いつもと同じ」


冷たいお茶を飲みながら呟く。
いつでも二人で行動を共にしてきた二人だ。
世界が終わるときにだって、ああして二人でいるのだろう。

彼女は再び歩く。



結局、その日は何も見つけられなかった。

503:夏の終わりのようです :2010/08/25(水) 03:39:48.66 ID:o5qMkOf20

新しいものを見つけたいと思いながらも、彼女はいつもと同じ道を歩く。


('A`)


いつものように丘の上で穴を掘る男がいる。
集中力だけは常人を超えるその男はひたすらに深い穴を掘っている。

自分の墓穴でも掘っているのだろうか。


|゚ノ^∀^)「毎日よく飽きないわね」


入道雲を背景にその様子を見ながら呟く。
日が暮れるまでスコップを手放さない彼だ。
明日もああしてスコップを持っているのだろう。

彼女は再び歩く。



結局、その日は何も見つけられなかった。

504:夏の終わりのようです :2010/08/25(水) 03:42:16.84 ID:o5qMkOf20

自分だけの何かを見つけたいと思いながらも、彼女はいつもと同じ道を歩く。


川 ゚ -゚)


いつもの小さな小屋を覗くと、真剣な目をした女がいる。
粘土をこね、形を作っては再び潰す。

一体何を作っているのかはわからない。


|゚ノ^∀^)「完成するのかしら」


小屋の蒸し暑さを想像しながら呟く。
工芸の授業を受けている彼女だ。
いつかは完成させてみせるのだろう。

彼女は再び歩く。



結局、その日は何も見つけられなかった。


505:夏の終わりのようです :2010/08/25(水) 03:45:22.00 ID:o5qMkOf20

劇的なものを見つけたいと思いながらも、彼女はいつもと同じ道を歩く。


( ・∀・)


いつもの高台へ行くと、ひたすらに絵を書いている男がいる。
色鉛筆を片手に、目に映る風景を紙に写している。

何を考えているのかわからない。


|゚ノ^∀^)「本当に好きね」


生暖かい風を受けながら呟く。
絵を描くのが好きだとは知らなかったが、何に対しても一生懸命な彼だ。
美しい絵を描いているのだろう。

彼女は再び歩く。


結局、その日は何も見つけられなかった。

506:夏の終わりのようです :2010/08/25(水) 03:48:25.45 ID:o5qMkOf20


|゚ノ^∀^)「あなたはそれでいいの?」

( ・∀・)「ボクは今していることを、無駄とも、面白みもないとも思ってないよ」


町を再び目に映しながら言う。


( ・∀・)「そうだねぇ……。明日、あの丘においで」


そしたらボクらのことがわかるから。
彼はそう言った。

その後は何を言っても返事は帰ってこなかった。


彼の背中越しに見た絵は、予想通りとても美しい絵だった。

507:夏の終わりのようです :2010/08/25(水) 03:51:20.75 ID:o5qMkOf20
彼女は始めていつもとは違う行動をした。

双子のいる窓を見ず、恋人同士の二人を見ず、小屋の中を見ず、高台に行かず。
丘を真っ直ぐ目指した。

まだ風は涼しげで、走るのは苦ではなかった。
漠然とした予感があった。

今日は何か変わる。
いつもとは違う何かを得ることができる。

|゚ノ^∀^)「あ……」

丘にはいつもの人達がいた。


( ´_ゝ`)

(´<_` )

ξ゚⊿゚)ξ

( ^ω^)

('A`)

川 ゚ -゚)

( ・∀・)

508:夏の終わりのようです :2010/08/25(水) 03:54:22.71 ID:o5qMkOf20

( ´_ゝ`)「どうだ! これがオレ達の証だ」

(´<_` )「『世界の終わり』に対するコメントと、
       最後に言いたい言葉を集計し、リストアップしてきた」

ξ゚⊿゚)ξ「あたし達は写真を撮ったのよ」

( ^ω^)「アルバムが二冊もできたお!」

川 ゚ -゚)「私の最高傑作だ。見よ、この美しさ」

( ・∀・)「ボクの絵も中々のものでしょ?」

('A`)「この深さを掘ったのも偉業だろー」


彼らは言葉を交わしていた。
顔見知りであることは知っていたが、それほど仲が良いとは思っていなかった。

誰もが笑顔で、何かを成し遂げたような顔をしている。


|゚ノ^∀^)「えっと……」

( ・∀・)「ああ、きたんだ」

510:夏の終わりのようです :2010/08/25(水) 04:00:07.63 ID:o5qMkOf20

彼はみんなに声をかける。


川 ゚ -゚)「おや、レモナじゃないか」

|゚ノ^∀^)「えっと……」

( ・∀・)「ほら、見て」


彼が指差す先には穴があった。
深い深い穴だ。おそらく、毎日穴を掘っていたのはコレなのだろう。

そして、もう一つ差し出されたのは大きな箱だった。


( ・∀・)「ここにで、ボクらの証を入れるんだ」


見れば彼らは手に何かを持っていた。

511:夏の終わりのようです :2010/08/25(水) 04:03:20.66 ID:o5qMkOf20

紙の束や、アルバム、陶器、絵。

('A`)「オレは深い穴を作って、世界の終わりに備えたんだ」


どんな風に世界が終わったとしても、この証達が残るように。
そのために穴を作るのが彼の仕事だったという。


|゚ノ^∀^)「……地味ね」

('A`)「そうかな?」

( ´_ゝ`)「でも大切な仕事なんだぞ」

川 ゚ -゚)「体力もいるしな」


彼らは箱に自分達の証を入れた。
これがいつまで残るのかなんてわからない。


( ・∀・)「つまらない日々を繰りかえすのは嫌だ」

(´<_` )「うじうじ過ごすのも嫌だ」


だから、未来を夢見た。

512:夏の終わりのようです :2010/08/25(水) 04:06:44.69 ID:o5qMkOf20

世界が終わったあと、また人類が現れたとき、見つけてくれたら嬉しい。
私達の世界は、周りは、私は、こうだったと伝えたい。


( ・∀・)「レモナも入れる?」

|゚ノ^∀^)「え、いいの?」

( ^ω^)「いっぱい入れたほうがいいお!」

ξ゚⊿゚)ξ「でも、今日には埋めちゃうから、早くね」


彼女は走りだした。
一緒に証を残せるのならば、アレを残したい。

玄関を乱暴に開け、自分の部屋から一冊のノートを開く。
シャーペンを手に、文字を書きこんでいく。


空は青空。白い雲が浮かんでいる。


彼女はノートを数冊片手に走る。

513:夏の終わりのようです :2010/08/25(水) 04:09:20.36 ID:o5qMkOf20

毎日の同じ繰り返しの中で、彼女は日記をつけていた。
これこそ、彼女の集大成だ。

最後のページに書き足したのは彼らのことだった。


双子の兄は奇抜な発想をしてくれる。
双子の弟はそれをサポートしている。
きっと、あの紙の束をまとめたのは弟の方だろう。

恋人の女の方は少し厳しいところがある。
男の方はいつもニコニコしているが、いざというときは頼りになる。

穴を掘り続けた男はずば抜けた集中力で、周りを支えてきた。

陶器を作った女は細い指から新たな形を作り出す。

絵を描いた男はその素晴らしい風景を何倍にもした。


514:夏の終わりのようです :2010/08/25(水) 04:12:29.55 ID:o5qMkOf20

|゚ノ^∀^)「これ……」

( ・∀・)「日記かい?」

|゚ノ^∀^)「うん」


彼女の日記は表紙に名前を書いて、そっと箱の中にいれられた。

深い穴の底に置かれた箱。
その上に土を被せていく。

証が埋められていく。


('A`)「この穴が、未来に繋がるといいな」


繋がるさと誰かが言った。


|゚ノ^∀^)「もう、夏も終わりね」


みんなで見上げた空はただただ青かった。

515:夏の終わりのようです :2010/08/25(水) 04:15:22.24 ID:o5qMkOf20


彼女達の夏が終わる。
世界が終わる。


( ・∀・)「これがボクらの選択さ」


その呟きに返事はいらない。
あとはただ未来を夢見て眠ればいい。

夏の風が生ぬるく頬を撫でた。




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